リサイクル親父の日記

第219話 3ヶ月しか暮らせなかったから・・・

2011/03/06

「・・・兎に角、買取して欲しいんで・・・持って行けないし・・・
何処でもダメでしてぇ~~本当に3ヶ月しか使ってないの・・・」
ギャルが必死に買取というよりも引取して欲しいと訴えているのだ。

聞きながら俺は考える。
どうして3ヶ月しか使わない冷蔵庫や洗濯機、レンジにジャーなどを他所のリサイクルショップは断るのだろう。
俺だったら大喜びしちゃうけど、幾ら考えても不思議な話だ。

「あの~どうして買取しないんですかね?」こんな時は単刀直入に訊ねる。
「ベットも有るんです、ベットって言うと皆断るんですよ、だからお願いしま~す、どうか・・・」
単刀直入にもう一つ聞く「3ヶ月は早すぎますが、どうしてですか?」

躊躇している風だが「・・色々あってぇ~もうダメなんです、1人暮らし・・できなくて・・・」
次に住所を聞くと、亘理町という仙台から車で南下して約30~40分の場所。
俺の店は仙台市の南端だからそれ位で済むが、中心部だと1時間以上はかかるかも知れない。

郡部だととても遠いように感じるし、万が一ってこともあるから、無理してまで出張しないのが一般的かも知れない。
彼女は数店に電話をしたが断られていて、でも処分しなければならないし、ホトホト困っていたのだろう。
悲鳴に近い訴えの電話声となった訳だ。

国道4号線から6号線に入って暫く田圃の中の一本道を南下して、目標の病院を左折して進む。
集落の中に異彩を放つ真新しい2階建てのオレンジ色のアパートがある。
メゾネットタイプだったので俺はギョッとするが、彼女の部屋は1階なので直ぐに安心できた。

メゾネットの2階の場合は、物を運ぶ時に階段幅が狭くて屈曲してるから最悪なのだ。
ベットは純白の枠にマットレスが美しく乗っかっている。
電化製品も申し分ない良品である。

「憧れの1人暮らしじゃなかったんですか?」そっと聞いてみた。
「そうですよ・・・でも、お金がゼンゼン無くなってしまって・・・それで実家に・・・」
あまり説明したがらないが、突然気持が変わる。

「交通事故・・当て逃げされて、でも加害者が分からなくて・・自損事故扱い・・車がダメになって・・・
まだローンもあって・・・アパート代も払えない状態に・・・だから、実家に・・・」
悔しくてしょうがないのか、最後は涙を浮かべていた。
残念至極のルンルン独り暮らしの夢の果か?