リサイクル親父の日記

第223話 応対が異常に丁寧過ぎてますよ

2011/03/10

仙台市新田という地域は比較的新しく開発された場所が多い。
碁盤の目状に区画整理されていて賃貸マンションや分譲マンションが目立っている。
居住地域のためか車が少ないので、路駐も心配無くて買取はし易いのだ。

若い男からのソファーと椅子の2点の買取である。
電話での印象は大変好感が持てたから、俺は期待している。
インターホンを押すと、直ぐに軽やかな声で答える。

ドアーが開くと同時に、「すいません、こんな所まで出向いていただいて、遠かったんじゃありませんか・・・」
俺を労う言葉がバカ丁寧でありくすぐったくなるほどだ。
俺が靴を脱いで部屋の通路に上がると、「本当に狭くて申し訳ありません、大丈夫でしょうか、通れますか・・・・」

彼は中腰で前屈みの姿勢である、手揉みでもしたら恐ろしく似合いそうだ。
20代中だろうに、こんなに低姿勢でバカ丁寧な言動をするのかと驚くしかない。
「お願いしたいのは、この椅子とソファーなんですが、いかがでしょうか・・・状態はあまり良くないかもしれませんが・・・」

どうしても自分で説明をしたがる。
俺が瑕疵がないか検品するが、心配なのだろうか俺の真後ろで見ている。
裏側を見ようとしゃがむと、一緒にしゃがむ。

「どうでしょうか?丁寧に使っていたので、でも、業者さんから診れば分かりませんけれど・・・」
検品を終えて俺は査定金額を思案する、ちょっと頭を曲げる。
「あの、何か問題でもありますか?ここですか、少し汚れてますね・・難しいですかね・・・」

金額を伝えると、彼ははち切れんばかりの笑みを浮かべて答える。
「そ、そんなに・・よろしんですか・・とても嬉しいです・・運ぶの大変でしょうから手伝います」
こんなに丁重にされたり丁寧な言葉で慰労されるのは初めてだ。

「通路狭く運ぶのが酷くて申し訳がおざいません」数回同じ言葉を言う。
最後は「御苦労おかけしまして申し訳ございませんでした、本当にありがとうございました」
どんな仕事なのか、接客や営業なのか、時々、・・過ぎる人に会う。