リサイクル親父の日記

第235話 少しは役に立ったかも、この商売が・・・

2011/04/15

20年以上通っている床屋さんがある。
俺は面倒臭がり屋だから一度決めるとずーっと同じ店に行く。
飲み屋も、買い物も、俺自身は保守的ではないのと思うが、知らず知らず同じパターンを繰り返すのだ。

床屋さんは同じ店だと安心感があるし、床屋さんの世間話を聞くのが大好きでもある。
俺がそうなんだが、お客さんの少ない床屋さんは、安心して本音で話すことができる。
そこで聞く世間話は実に面白くて楽しいものがあり、事実は小説より奇なりが盛りだくさんである。

髪を切りに行くのか話を聞きに行くのか分からない程に俺は小1時間が充実する。
彼女の店も大震災時に冠水してた。
ある日、店の前を通ると、理容什器全てが駐車場にゴミとして出されていた。

一週間後にはゴミは無くなってたが、ガラス戸にテナント募集の張り紙があった。
廃業するんだなと感じて、今後の世間話が無くなることに寂しさを感じた。
数日後に俺は店の外の道路に出て、全国の支援部隊の車が通るのを感謝をこめて眺めていた。
  
すると徒歩の彼女に偶然出くわした。
「張り紙見たけど、やめるんですね?」と聞くと、彼女は憮然となった。
「不動産屋が勝手に張り紙したの、まだ決めてないのに・・・ところでさ、新品で揃えると高いし・・・
前に中古屋さんを知ってるって言ってたわよね・・・」

俺は理美容器具リサイクルの社長と数年前から知合いになっていた。
ある時、床屋さんで寝物語ではないが、座物語として教えたことがあった。
「それじゃ電話するから、相談したら・・」と俺はケータイをかける。

彼女は中古の値段を聞いて、顔色が急に明るくなった。
「ここで会えたのは、きっともう一度やれってことだわ!」彼女の再建は決定されたようだ。
人は気持ち次第でガラリと変わるものである。

精気が戻り明るくなる彼女と早く世間話をしたくなったよ。
座るだけでいつも通りに刈ってもらえる床屋さんは貴重かもね。
リサイクルショップをやってたので知合えた理美容の社長さんだったが、彼女に少し役立ったらしい。