リサイクル親父の日記

第241話 塩水には敵わない、錆てしまうから

2011/04/21

石巻の店は津波の影響もあり浸水した。
腰上の高さの水は1週間以上も引かずに溜まっていた。
店の一帯は北上川の堤防と貞山堀堤防に囲まれた状態だから、水捌けは良くなかったのだろう。

それ以上にこの場所が津波で浸水するとは想定外ってこと。
地震で品々が倒れてしまう、その上に長期間の浸水となれば、殆どの商品はゴミと化すのは自明。
片付けをする際、思い切れずに判断が鈍る場面が多々ある。  

一部でも壊れてしまえば、勿体ないと思っても廃棄のジャッジはできる。
壊れてなくて良品に見える時には、なんとか売り物、商品にしたいのが人情だろう。
清水で洗えば大丈夫そうに思えるが、これがそうもいかないのだ。

塩水だったから、乾いても表面に白く塩が吹く出すこともある。
それにボルトやナット、蝶番の金具は腐食が激しくなってしまい、簡単には元に戻らない。
金具のメッキは剥がれている、そして、赤錆び状態だからね。

水分を含んで膨張して開かなくなってしまう扉に引き出し、塗装も変色してしまっている。
僅かでも活かせないかと検品して判断するが、自分の思いを切れずに捨てれない。
「思い」を「切る」、思い切りが悪い、勿体ないという気持ちもあるが、品々が哀れに感じるのだ。

リサイクルショップで扱う物は、一度は誰かにイラナイと処分されている訳。
第二の使い手に見いだされれば幸いな筈が、今回あっけなく機会を失ったということ。
物には感情も気持ちも無いが、売り手の俺には気持があるように思えて仕方がない。

スチール製事務機にしても赤錆びが出れば価値が著しく低下してしまう。
だから廃棄の判断は、再生の手間を考慮するのだが、するとやっぱり殆どを廃棄せざるを得ない。
塩水、海水には敵わないと再確認する。