リサイクル親父の日記

第248話 プロですから、思わず嬉しくなってしまう

2011/04/28

仙台市青葉区の北仙台駅付近は昭和町と呼ばれているが、俺には難所。
道路が狭くて入り組んでて、尚且つ、車と人の通りが物凄く多いのだ。
建物も林立しているので駐車スペース確保に困難を極める。

だからトラックに1人付けておく必要もあるが、買取品の内容ではくたびれ儲けって具合で、労多くして実が無い場合もある。電話で聞き取りした内容ではいけそうでも、現物がどうしようもないこともある。
内容を詳しく聞き出して判断しないと失敗するから、いつも住所を聞いて最後に迷うのだ。

震災前に予定してたが保留になり、そして、その後数回電話のやり取りをした。
「お店はいつ頃再開できますやろか?それからでいいですよ」
店の状況を理解してくれて、再開後の買取で構わないからと思いやりのある言葉だ。

「4月の後半、そやねぇ~25日か26日とかはどうですやろか?」
関西弁はドギツく感じる俺なのだが、この女性の関西弁はとってもソフトだったので、耳触りが気持よかった。
場所柄で早朝に買取をお願いしてた。

部屋に入ると、ご夫婦は今しがた起きた風で、それでも嫌な顔をせずに俺らを労ってくれる。
「単身赴任だったんですの・・・」
洗濯機に冷蔵庫、タンスが2棹、スライド式本棚、食器棚、PCラック、椅子など、電話で聞いた以上の物モノだ。

現場で物が増えることはよくあるが、次の予定があると素早く済ませないと遅れてしまう。
会話をしている暇も無く、饒舌な俺もこんな場合には黙々と搬出作業をせざるを得ない。
三枚扉の洋タンスをバラしたり、洗濯機のコードや排水ホースを外す、兎に角サッサと無駄なくこなす。

エレベーターは小さめで何度も上がっては降りて、やがて各部屋は広々と感じる様にすっきりした。
大型家具が無くなり意外なほど部屋はゆったり思えるから、できれば整理整頓を心掛けるとイイよね。
陽光の指してきた窓際に居るご夫婦が感想を言う。

「仕事が早いですわね」、「本当に的確で上手いですね」だって。
俺はちょっと自慢げに鼻を上に向けて、「えぇ、プロですからねぇ~、これくらい・・・」
ようし、もっと上手く早く進めようっと思って張り切る。

買取代金を支払って部屋を出ようとしたら、奥さんが缶コーヒーを渡す。
「ご苦労さんでしたわ、これどうぞ」
肉体的には張り切り過ぎてしんどかったが、缶コーヒーと嬉しい一言が俺の疲れを忘れさせてくれる。