リサイクル親父の日記

第258話 これから大震災の後始末を・・・

2011/05/08

「・・色々あるんだけど・・家具も冷蔵庫も・・・大型テレビも・・・兎に角、来てくれないか、
家を解体するんだよ、地震で・・・引越すからさ・・・明後日には出るよ、今、来てよ・・・」
普段はもう少し詳しく聞いてから判断するが、時間というか日にちがないので現場に出向く決心をした。

ぶっきら棒な言い方の中年男性で少し疲れてもいる感じがする。
仙台市泉区の住宅地のブロックの端でバス通りに面しているから、例えば搬出はやり易そうだ。
男性夫婦とお婆さんの3人が居る、玄関外に段ボール箱が数個積み上がっている。

「この家にある物全部だよ、買取できる物全部でいいから、どうせ解体しちゃうし・・」
1階の玄関側の寝室に入ると、ベットにタンス類がギッシリ置いてある。
その上に衣類や小物などが氾濫状態だから、タンスの開けることもできない。

一品ずつの検品なんてしている暇は無いから、俺は考えた。
「例えば、いつ運び出しできますか?時間はどれ位いただけますか?」
すると、「明日は銀行に役所にも用事があるし・・・明後日だね、でも午後2時には仙台を出発して・・・」

お爺さんが亡くなって、関東に住む子供夫婦がお婆さんを引き取る。
葬儀に、大震災だったから部屋の片付けなどできる筈も無く、避難して子供さんの家に行っていた。
修理に大金を掛けるよりも処分して、それで子供さんと暮らす道を選んだ。

お婆さんは布団や和タンス、ベットなどを俺に勧めるが、俺は断るしかない。
「すいません、それは無理ですね、売れない物は持って行けませんよ」
「あぁ、勿体ないこと・・・」と呟きが聞こえる。

2階に居間と台所が続いている。
仙台の街中では、居間を明るくしたいからとこの間取りも見かける。
街路樹で1階は陽の入りが悪いから、2階に居間を設けたのだろうと勝手に考えた。 

「当日は家には不用品だけにして置いてください、その中から選び出します」
冷蔵庫2台、テレビ2台、他にも家電数点、家具5~6点、エアコン2台、小物多数と俺は目星を付けていた。
時間が無い割に人手がかかるが、まとまった買取は有難い。

引越しにも様々な理由がある、地震、津波、原発・・・
俺はリサイクルショップの業務が何か社会に役立っているかも知れないと、この頃思える。
最善を尽くすことを誓って・・・頑張り・・ます。