2011/05/11
商売柄、時々、テナントビルオーナー筋の不動産管理会社から連絡が来る。
テナントが退去することになって、後片付けの依頼である。
産廃処分では費用が大きくなるから、処理費用を少なくしたいと誰しも考える。
事務機類は少々古くても商品にできる場合がある。
俺は搬出経費を考慮して、儲かるかどうか判断する。
或は、全品は無理でも商品になりそうな物だけを選ぶ、それでも処分費用の削減にはなる筈だ。
仙台市中心部の細長くて背の高いビルで10階まである。
午後4時にビルの入口で待ち合わせる、4時ピタリに管理会社の社員が現れる。
彼は以前から約束時間ピタリに現れるから、俺はいつも15分前後は待つことになる。
中心街は交通も混雑するので時間厳守のため早めに行動しているが、同時に待ち時間は必ずできる。
歩道でゴチゴチに固まった身体をストレッチで解して時間を消化している。
通り過ぎる人々が不審者の如くに俺を見ていると思うと、少し笑いも出る。
「地震でね、古いビルだし、タイルは剥がれ落ちるし、ひび割れも発生しちゃって・・・」
一見すると問題なさそうだが、確かにあっちこっちのタイルが無い、ビルの角には隙間もある。
「それでね、テナントさんが出ることになったんだけど、持って行けないからって・・・」
エレベーターで俺らは上階に上がり、一番奥の一室に着いた。
30坪ほどの事務所は数人の女子職員が電話応対で働いている。
1人帰ると、又、1人帰る、どうやら4時で終業らしい。
事務所というよりも机だけが異常に多い、そこはコールセンターって呼ぶ電話基地だ。
仙台はコールセンターが意外に多いと思える。
過去5~6年で10回弱のコールセンターの買取をした記憶がある。
「兎に角、処分するにも時間がかかるし、できるだけ持って行って欲しいんだ」
ビルの補修も大変だろうが、退去する会社の残地物処理も大変だろうと思える。
街中もダメージの大きい建物が見られる。
復旧復興ということが実現できるのは数年先なのだろう。
地震の爪跡を俺らはいつまで見るのだろう。