リサイクル親父の日記

第281話 もうデパートに買い物には行けないわ、嬉しいことを・・・

2011/06/01

ご年配の婦人の仲良し2人組のお客さんが今日も来ている。
穏やかな上品な会話を2人はずっと交わしながら売場を見ている。
家具売り場のソファーに腰を掛けて何やらにこやかに楽しそうでもある。

激安100円のワゴン商品を手に取りながらそれぞれの感想を言い合ったりする。
コーナー1ヵ所に費やす時間は30分から小1時間位だから、もう2~3時間経ってても少しも進展しない。
ヒソヒソ話ではないが育ちのせいか声が穏やかで低いので、俺には気にはならないし、BGM感覚的に聞こえる。

例えば、服をハンガーごと持ち上げて点検して、二人で何時、何処で着ようかとあれこれ相談する。
その後に身体に当てて合わせて、そして又、あれこれと感想を言い合う。
例えば、和装バックを選び出して、同様にあれこれ検討して吟味し合う。

手に2~3点持ってレジに来て預けて「もっと見させてもらいますから・・・」と売り場に戻る。
ワゴンの食器にマッチ、絵ロウソクだったり、今度はスカーフにタオルとか・・・
歩みは遅くゆったりで一種の優雅さが漂うようでもある。

服装はシックで落ち着いた物だが、上も下も上物であることに疑いはない。
長い、長~いショッピングは終焉した。
「・・ここはゆっくり買い物できるから・・・最近は忙しない所が多いでしょ」

更に続ける「・・これっぽっちじゃ、お店は儲からないでしょ?申し訳ないですね」
別のご婦人が続く「ホントに長い時間お邪魔しちゃって、すいませんわ」
俺はどんな風に応えるべきか迷う。

でも「いいえ、うちは暇ですから、いつでもごゆっくりしていただいて結構ですよ」
「わたしたちみたいなお客じゃご商売もあがったりよね、でもドカンと買う方もいらっしゃるのでしょ?」
「それはそうでしょう、こちら色々あって楽しいし、地震いかがでした?」

地震の状況を話し合ったが、その結果として、
「わたし考えが変わったんですわ」
「わたしよ、生きているだけでも有難いことだと思える、それに物も特別欲しいなんて思えなくって・・」

「それに・・デパートにも買い物に行く気になれないわ・・こちらで十分だわ」
以前だったら俺はその言葉に大喜びできた。
例えお世辞だと分かっても嬉しかったが、暇な店だからイイのか、変な物を売っているからイイのか、俺には分かりかねる。