リサイクル親父の日記

第283話 万引き捕まえたの巻・・・とっても面倒で支障が大きい    

2011/06/03

小売をやっていれば万引き被害の一つや二つは経験している。
売場に空箱だけが残っている、箱の近くを探しても商品が見つからない。
鍋の蓋を盗まれたとか、電動工具の部品が取り外されて無くなっていたなんてね。

繁盛してるリサイクルショップは店員も多くいるからしっかりした管理もできそうだ。
弱小で零細な俺の店は出張買取で出かけると、時には1人で店番をすることになる。
買うお客さんや持ち込み買取が輻輳すれば、1人で店内全体を遺漏なく管理するなんてできっこない!

俺のせめてもの対策は、レジからの見通しを良くして監視すること。
什器の棚の配列を考えて、同時に大型品や重量品を外周部や死角部に陳列すること。
高額品や希少価値品は目視できる場所に可能な限り陳列する。

こんな考え方で商品陳列をしても良いんだろうか?
小売業の経験も無く、勉強もしたことがない俺だった。
少ない店員で管理するということを最優先に対策した結果なのだ。

いつものようにレジで椅子に座って漫然と店内を見渡した時に変な男を見つけた。
ダンガリーシャツの前を捲り上げて商品のシーツを押し込む???
すると今度は取り出して元の棚に戻す??

男の顔は上段の商品の陰に隠れて見えないが、腹部はハッキリ見えるのだ。
2回同じ動作を繰り返すから俺は目を凝らして見続ける。
・・と、最後にはシーツを左手に持って、あろうことか出口にスタスタと小走りするのだ。

他のお客さんを二人ほど掻き分けて俺はバタバタと走った。
玄関から数歩先に男は背を向けて歩いているが、委細構わず俺はガバッと男の肩口をつかんだ。
そして俺は店内に引き戻して交番所に電話をした。

お巡りさんたち3人が来るまで30分以上もかかったが、その時間の長いこと、じれったいこと。
過去にも万引きを捕まえたことがあって、面倒臭がり屋の俺は簡単に放免した。
後日、知り合いの刑事に話したら、絶対ダメだよ、必ず知らせてくれと厳命を受けた。

芽は小さい内に摘むこと、小事が大事を孕むからと今回は決断したんだ。
現場検証、状況説明に調書作成と若いお巡りさんたちは頑張ってくれたが・・・
店には他のお客さんも出入りしているので、異変に気付くからサッサと帰る。

聞けば、55歳のプー太郎、風采の上がらない男ではある。
俺は怒りよりも哀れさを覚えたけど・・・