リサイクル親父の日記

第294話 減ってしまう買取品はショックでして・・

2011/06/16

仙台市若林区今泉という地区からの買取見積の依頼があったのは1週間前。
中年男性が一軒家で迎えてくれる。
家の中にはビニールゴミ袋が満杯状態で多数見受けられる。

「売れそうな物があれば何でもイイから持って行って欲しい、どうせ、家を売るんでね」
俺は「引っ越ししたんですか?」と聞く。
「親が住んでたが・・自分の家は別にあるんで・・ここはもう住む人居ないからね・・」

「中にある物を片付けたら・・会社の休みの日に片付けをして・・」
事情を理解した俺は各部屋を丹念に探し回る。
ついさっきまでの生活感が漂う中で、お年寄りが住んで使っていたであろう品々を検品する。

査定できる物は少ないが、無料で引取できる物を数えれば、トラック1台くらいにはなりそうだ。
「少ないかも知れませんが買取できます、来週ですね次の休みは・・・」
それで今日3人で行ったのだ。

先日と同様に彼は1人で片付けをしている。
済まなそうな顔で「物が少なくなってると思うんだ・・だから買取金額は減らしてもらって結構だよ」言う。
「えっ? どういうことですか?」当然の疑問である。

「親戚がさ・・持って行ったんだよ、色々・・新品のリールや釣り竿も無くなってなってて・・だから・・」  
「あの2階にあった・・あれはご自分で持って行くって言ってましたよね・・」
「・・しょうがないんだよなぁ~・・家の鍵を持ってたからね・・そんな訳で・・」

俺は1週間前に目星を付けた品々をチェックする。
台所の新品や良品の鍋がほとんど無い。
茶の間の急須など茶道具も無い、床の間の立派な花瓶の無い、・・・

流石に年代物の家具は残っている、年代と言っても20年くらいでギリギリ商品になりそうな物。
家具は数点あったから何とか格好はつく。
痛いのは小物良品がかなり減ってしまったことかな。

一点5百円、1千円で売れそうな品が多数無くなってしまったのだ。
積み込み作業を終えた。
彼は「申し訳ない、だいぶ減ったろうね・・」、その気遣いが有難く感じれた。

「えぇ、でもしょうがないですよ、それでお支払いします」
俺は決めた金額を財布から取り出して渡そうとした。
「ダメだよ、少なくてイイら・・」そんな問答をする始末。