リサイクル親父の日記

第295話 それは絶対やっちゃダメ、頼むからやらないでってば・・

2011/06/17

リサイクルショップも小売であるから、販売しないと利益は出ない。
売った後は、その品物がどうなろうと関係は無いけど、或は買ったお客さんがどう使おうが預かり知らない。
買うお客さんは様々で、本来の使用目的と違う活用方法もある。

お茶でいう詫び寂びの世界は実に転用が豊富である。
茶道は知らないが、その美意識や感覚はセンスがイイなと思っている。
形式の持つ窮屈さを除いて、茶道具や掛軸、花入れなどを一品として眺めると素晴らしさも改めて実感できる。

気に入った抹茶茶碗でご飯を頂くのも楽しいし、香合を入れ物に使っても楽しい。
知人が、ちゃんとした椅子がないかと聞いてきた。
椅子は物凄い種類があるので色々質問する。

ケヤキの一枚板で長さ2m幅1mのテーブルに似合う物を探しているのだった。
ベンチ長椅子と作家物椅子2脚を合わせているが、人寄せもあるので増やしたいらしい。
彼の家に行ったことが無いので現物は見たことが無い。

しかし、話を聞いて想像すれば、やはりちゃんとした椅子が欲しいという気持ちは言わずとも知れる。
木製むく材でセンスがあり、良質で良好な物は? 
・・!!そういえば、数ヶ月前に喫茶店から買取した白木の椅子があったっけ!

店主の彼女は拘りが強くて、什器1品毎に入念に調べて買い集めたと言ってた。
「飛騨家具の椅子です!高かったの幾らで買ってくれますか?飛騨家具よ!・・」と鼻息荒く迫っていた。
何度も飛騨家具って言われてしまい、俺の耳奥にヒダとして残った。

丸棒4本足、背もたれも丸棒5~6本、座面が厚板、そして、臀部に合わせるように中心部を境に左右に僅かな凹みがある。
だから座るとフィットが素晴らしいのだ。
彼は椅子を何度も確かめて「これに決めるわ」と気に入った。

次に発した言葉が俺を驚かせる。
「これを焦げ茶色に塗って使うか」平然としている。
「?えっ!塗るの?塗ったことあるの?」質問すると、「いや、無いけど・・」と答える。

「それは絶対やっちゃダメ、頼むからやらないでってば・・」思わず言葉が出る。
だって素人が塗ったって、色むらも出るし、仕上げはできないから、小学生の工作にしかならない。
メーカーの職人が精魂込めて作った完成品ではないか、オチャラケにしないでちょうだい。