リサイクル親父の日記

第296話 動物に襲われるの、だから戦うのよ

2011/06/18

店の南方の岩沼は震災、特に仙台空港の津波の映像は衝撃だった市である。
以前からの店のお客さんで片田舎でスナックをやっているママさん。
ハキハキしてて即断即決タイプで夫を尻に敷いてるようだ。

去年初め頃は夫が入院して落ち込んでいたが、秋に退院してからは元の様に元気を取り戻してた。
震災後に一度来ていた。
店は何とか助かったが、スナックの常連さんたちが被災して売上が急落したと嘆いていた。

いつも慌ただしいから俺も慣れている。
バタバタと飛び込んでレジに来て「・・あ~ぁ、疲れるう~、夢、夢見ると疲れるのよ・・」
「夢で疲れるの、でも俺もそんなことあるなぁ」と同調した。

「疲れてる時は必ず動物の夢、像もライオンもいっぱい出てくるのよ・・その内に襲ってくるからさ・・
こうやって追い払おうと、戦うんだけど・・だから物凄く疲れちゃってさ・・」
腕を振り上げると前後に振って戦いの様子を再現している。

俺の夢も似ているのだ、恐い夢は毎回昔の嫌な経験が現れている。
夢の中で夢だと自覚しながら見ていて、何処かの時点で目が覚める。
振り返れば、疲労している時かと考えてみると判然としない。

悪い夢も恐い夢も同じ場面で同じ展開を繰り広げていると思う。
あり得なかったことが、時系列では全く違うのに、夢では渾然として同時進行してて、尚且つ、違和感は無い。
そんな目覚めの朝は、昔の辛いことを思い出して、意を新たに過ごすことを心がけている。

店内を一回りしたママは「今日は無い、欲しい物が無いわ、あんた、帰ろ!」と夫に言う。
ノミの夫婦の様に痩せて小柄な夫は無言で後を追う。
・・・

ママは人生70年間を苦労して、戦って生きてきたのか、そんな感慨が湧いた。
人は皆、どんな人生を送っていても、何かと戦ってるんだ。
苦労も辛いこともある人生だが、少しだけの楽しいことやイイことに救われてるようだ。

バリバリで突っ張ったようなママ、ド派手な化粧に衣装、衣裳って?
シャツは、その模様はいつも動物じゃない?
豹、像、キリン、ライオンって、そんな柄のド派手な大阪おばちゃん風じゃない。