リサイクル親父の日記

第297話 チョッと凄いっすよって、何これ?

2011/06/19

売りに来る人の中でも、本人の自慢するほどに物がイイということはあり得ない。
高く売りたい心理が誇大表現になるし、それも大袈裟になり過ぎれば嘘に近い。
こんなギャップに出会うと悲劇から喜劇に変わる。

服装で人を判断するつもりはないが、似合わないまでもチグハグさが大きい場合は要注意でしょう。
男三人で午後に暇つぶしに入って来たようだ。
グレーのワイシャツにダークグレーネクタイ? 今時の色合わせかよ!と思った。

もう1人もやはりカラ―シャツに暗い色ネクタイ、こいつもかよって思うしかない。
最後の1人は白いワイシャツに濃紺ネクタイ、少しまともそうに思える。
しかし三人は歩き方は乱暴で肩を大きく振っているから、どう考えてもダサ過ぎた。

白シャツの男が俺の前に来る。
「キン・・金は買取する? g、何ぼしてんの?」不躾で常識も無い聞き方。
「・??」と俺は彼の顔見て「金って、品物は何ですか?」と聞き返す。

ズボンの汚れたポケットに手を突っ込みビニール小袋を出す。
「チョッと凄いっすよ」と顔をニヤッとするが、気色悪い。
俺は袋から取り出しながら「何金ですか? 指輪ね」と言う。

質問には答えずに「・・まぁ、凄いよ」と又しても余裕のニタリ顔だ。
鎖状の指輪は折れてペタッと重なっている。
ルーペで外周に内周を調べるが刻印が見えない。

グニャグニャ曲がるので非常に見難いが、本物であれば必ず何処かに刻印がある筈。
しかし見つからないし、よく見ると金の所々に極小のツブが黒く見える。
「刻印が無いので買取できませんよ」と伝える。

不満そうな態度で仲間の方へ行く白シャツ男。
10m先で彼らはブツブツ相談している。
「・・違うのか?・・」「・・おかしいな??・・」「・・分からねえんだよ・・」「・・他に・・行く・・」

どうやら話がまとまったらしく、彼らは足早に店を出た。