2011/06/23
仙台市近郊の閑静な住宅街、普通の時間帯だと店から車で1時間かかってしまう。
検品を終えて俺はお客さんに申し出る。
「物の量が多いので、当日は朝早めに作業をしたいのですが、どうでしょうか?」
「わたしの家からここまで1時間くらいかかるので、あんまり早いと~」
「それでは、鍵をお借りできないでしょうか?お客さんは後で来ていただいて構いませんし」
「そうね、そうしてください、ハイ、鍵です」彼女は安心した。
だから今朝俺はトラック2台と作業員5名で現場に行った。
薄明と共に出動してるから30分弱で到着、やっぱり車が少ないから速く着ける。
彼女のおばさんが独り暮らしで数年前に亡くなった、その後片付けだ。
70~80代のおばさんは、とても物を大事にしていた。
色んな物がいっぱいタンスにも家具にも棚にも押入れにも、ありとあらゆるスペースに満タン状態だ。
宮城県職員感謝状、着付け教室、生け花教室と前歴をうかがわせる賞状に看板がある。
家具一つを空にするにも中身を取り出して別な場所に置くのだが、実に労力を要する。
中身を散らかす訳にもいかないし、その中にも商品にできる物もあるかも知れない。
丁寧にとはいかないまでも、乱暴にもできないから、やはり時間がかかる作業ではある。
それでも夢中に作業を続ければ知らず知らず一つ、二つ、三つと空いてゆく。
1軒幅の大型の物も90cm幅の整理タンスに洋タンスもという案配だ。
着物や帯もシーツやタオルケット類も包装も解かれてないギフトも・・・・
2時間やるとトラックは満杯になって、小物や雑貨類も化粧ケースに10箱以上で風呂敷やビニール袋も10以上かな。
人海戦術は頭数だ、2~3人だと倍以上も手間取るだろう。
作業を終えても彼女は現れないから、俺は知らせた。
「あら~っ、早く終わったのね、午前中いっぱいかかるんじゃなかったの?」
着くなり彼女が言ってきた。
「思ったより早く着いたから作業がはかどりまして、ところで植木屋さんが来たましたが」
「うん、そうね、綺麗にして売った方がイイし、震災者の人が家を探してるって、不動産屋が言ってて・・」
「ここは高台ですもんね、それはそうですね」
そして俺は支払いを済ませる。
「ゴミ処理代が大変なの・・でも、早くやらないとね」
彼女は少し疲れているようだが、俺は相当疲れてしまった。
熱くなったペットボトルを飲んだ、もうすっかり陽が昇りジリジリ照っていた。