リサイクル親父の日記

第302話 新品の電化製品、でも仮設住宅ってことは?

2011/06/24

仙台の店は太白区中田という場所にあり、だから長町という太白区の中心部にも近い。
長町駅の南側「あすと長町」に広大な空き地があった。
今回、仮設住宅として活用されて、40棟ほどが建てられた。

当初は10戸まとまっての入居条件のため埋まらず、その後に数戸と条件緩和があり、今は促進されたようだ。
まさか仮設住宅入居者から買取依頼があるとは想像もしてなかった。
おっさんからの電話である。

「そっちでは買取するんだが? 冷蔵庫や洗濯機だべ・・何ぼぐらいになるべや?」
昔からの宮城育ちだと一言で分かる方言である。
「何年前のものでしょうか? 年式によりますよ」と聞き返す。

「新しいんだ、新品だべさ、何ぼだ?」買取金額を相当気にしている。
「それでは、大きさ、容量はどれくらいですか?」
「ん? 分からねけど・・・型式でイイが? XXXX-00なぁ・・箱さ書いである」 

ネットで検索すると、現行品だから問題も無い。
「冷蔵庫と洗濯機、新品ということであればX万円で買取できますよ」
「何だ、そんなもんが・・でも、イイが・・頼むがな」

そして場所と日時を打ち合わせる。
「仮設住宅なんだ、長町の・・そこのXX号棟のX号室だ」
「エッ?仮設住宅ですか~~それ売ってイイの? これから必要でしょ?」

「いんだ、いんだ、おらがもらった物だべ、売ってもイイべや」
「でも何だか・・躊躇しちゃうな・・善意の物だしね・・・」
俺は正直に思いを口にする。

その後、どうも俺は寝覚めが悪い日が続く。
商売になる買取だが、善意の賜物を箱入り状態で買取して、俺が儲けていいのか?
こんな買取でも商売だから気にせずにやるべきなのか?

どうして要らないんだろうか?
色々考えてみた、例えば、1家が人数が多くて2戸を使用する。
そうであれば1セット不要になるから、幾らでも現金化する、とか・・・

俺は都合のイイ解釈をして、自分を納得させたいと思っているが、これがなかなか・・・
おっさんから二日後に電話が入った。
「頼んだ買取な、止めるわ・・」

理由を聞く気にもなれない、でも、俺はキャンセルを喜んだ。
例えもっと高く買う店を探したとしても、俺の良心は傷まずに済む・・・
気分良く、もっと言えば、気分の悪い買取はしないにこしたことはない。