リサイクル親父の日記

第312話 だんだん愛着が湧いて・・遂に、奥さんの許可も・・

2011/07/04

リサイクルショップは本業だが、いつの頃からか骨董品も取り扱うようになっている。
実は似て非なる物と思うが、当初は物は物だろうと考えていた。
だから浅はかな考えであるのは自明の理である。

でもそんなことを気にせずに突き進むのが俺の欠点であり長所でもある。
リサイクルショップをやることにしたのは、その商売が分かっていたからではない。
分からないド素人だったけれど、色々なハード面の条件を揃えることができたので始めたにすぎない。

刀剣もそんな調子だもの、軽いノリと好奇心で取り扱ってみたいと感じた次第。
低級で安価な品を仕入れてみたら、意外に値段だけで買うお客さんが現れる。
1人2人ではなく十数人はいて、入れ替わり立替わり来店するようになる。

それから数年間は俺でも刀剣商売ができていたから不思議だ。
リーマンショックからは彼らが全く来なくなり、刀剣も商材ではなくて単なる飾り物になってしまう。
1年前に比較的近い所に住むお爺さんが来て「刀、見せてちょうだい」と言う。

鞘から刀身を抜くと「ダメだよ、こんなんじゃ、手入れしてないの?錆が出てきてるよ!」と叱られる。
父親に叱られてうな垂れる子供の様に俺は下を見るしかない。
「もったいないよ、俺が手入れしてあげるよ、イイだろ?」と申し出てくる。

車から道具を持って来ると、時代劇の様にポンポンと先の丸い棒で叩いて粉を振り付ける。
白い半紙でスーッと何度か引いて錆を落とし、次に植物油を付けて数回拭くのだ。
「どうせ、あんたは手入れできねぇんだから・・多めに油を付けておくよ・・」

その後にお爺さんは1~2ヶ月毎に様子を見に来るようになる。
「・・お~い、売れたか? 未だか、今日も磨いて行くよ」
そんな感じの関係が1年も続いている。

俺はお爺さんから刀の手入れについてたくさん教わる。
聞けば聞くほど、不精な俺には刀の管理は不向きに思える。
「・・あれですね、刀がだんだん綺麗になってきてる感じがしますが・・」俺は正直な感想を言う。

「そうだよな、やっぱり手入れは大事だよ」
そして、昨日手入れしたから暫くは来ない筈なのに、今朝ひょっこりと来たのだ。
「どうしたんですか?」俺は素っ頓狂に聞いた。

「ばあさんがさ、買ってイイって許可してくれたからよ、ばあさんの気持ちが変わらない内に買いに・・・」
「・・ハァ?・・本当に買うんですか?」俺は疑う訳ではないが念を押す。
・・・

俺は、この刀を俺よりもはるかに、大切に、大事に、慈しんで愛でてくれるお爺さんが持った方がイイと思う。
1年間のお手入れ代金相当を俺の気持ちとして値引きした。
お爺さんと奥さん二人に喜んでもらえれば俺も嬉しいということ。