リサイクル親父の日記

第316話 お爺さん、計算が合ってないんだけど・・・

2011/07/09

昨日アップしたブログのおじさんとのやり取りをお知らせします。
おじさんと言うよりはお爺さんがピッタリするね、76歳だからね。
引取に行った朝、お爺さんは俺を迎えると開口一番「あんた、何年生まれだい?」と聞いてきた。

「おはようございます、よろしくお願い・・あっ・・29年です」と面喰らいながら答えた。
俺は物量が多いから直ぐに運び出しにかかって、初めに茶釜を持ってトラックに積む。
家に戻って又積み込み品を手に取っていると、お爺さんが話しかけてくる。

「・・俺は9年だから・・定年退職してリサイクル始めたのか・・・すると・・・」
お爺さんが話しかけているが、俺は手も身体も休む訳にはいかないので、サッサと動く。
次に行くと「29年だから・・10年か・・偉いもんだな・・・65かな・・昔は55歳定年だし・・・」

俺が汗をブッ垂らして行ったり来たりしているから、申し訳なさそうに言う。
「・・でも、あんた、若いな・・俺は年金暮らしだ・・」と感心してる。
それはお爺さんの勘違いと計算違いであることは、鼻から分かっている。

今俺がそれを訂正してもしょうがないし、それよりも早く運ぶ方が優先する。
「・・俺は手が痛くて・・手伝えないし・・」
お爺さんの右腕には湿布が三枚貼られている、それに歩く姿勢もぎこちない。

ガチャンと大きな音が座敷の奥でする。
「あら~箱の底が抜けてしまったわ~~」と今度はおばさんの声だ。 
おばさんは少しでも手伝おうと箱を出口まで持って来る作業をしていたが、底が抜けていたらしい。

茶碗が数点割れていたので、「大丈夫ですか?怪我してないですか?」と俺は案じる。
「・・ばあさんや、任せておきなさいよ、又壊すと大変だろうが・・・」お爺さんが注意した。
これで少し静かになってきたので、俺の作業はピッチを上げる。

すると又しても話しかけてくる。
「・・これ全部売れるのかい? 何処かに分けたりするんだろ?・・」
「これだけ多いと正直持て余しますから・・色んなルートを考えますね・・・」

それはそれとして、俺は寸暇を惜しんで運ばないといけない。
お爺さんが呟く「・・10若いんだろ? 動きがイイよな・・」
「いや、10じゃなくて、20歳違いですよ」と俺は真実を伝えた。

お爺さんはキョトンとして??
「・・耳が遠くて・・何!20違うのか?・・やっぱりな、そうだろう・・」
遂に分かってくれたようだった。