リサイクル親父の日記

第326話 どうしてそんなに周りを気にするの?

2011/07/19

商品を常に買取して補充しないと、売上がつくれない。
問屋から電話一本で仕入れができないという最大の欠点がここにある。
買取をしつつ販売をして、そのバランス具合で売上が左右されてしまう。

仕入れが多いのが望ましく、売り余すくらい欲しいところだ。
だから数量が多い買取には俺も気持ちが入る。
「地震で立て直すのだが、家具と設備の買取はできるの? 去年買ったばかりの給湯器、エアコンなど・・」

仙台の隣の更に隣町で1時間かかるが、見積に行くことにした。
新興住宅地の2階建ては10年ちょっと経っていたが、外観的に何も問題がない。
玄関に夫が出迎えてくれる。

「どうぞ、どうぞ、遠い所へありがとうございます・・・」
その後に不思議なことを言う「・・大きな声・・小さな声で頼みます・・他所の家に聞こえないような」
「テレビと冷蔵庫、洗濯機は使いますから、それ以外の物は何でもイイですから・・」

家の中でのやり取りなのに、区画整理された一戸建てだから隣家とは少し距離があるのだ。
一家4人家族の家具は相当数だし、不可解さを忘れて期待を膨らませる。
「・・そちらで買取できる物を教えてください・・・それで判断します」

これも普通ではない、家主が売りたい物を示しすのが現実的なのだ。
俺は言い分に従った。
居間を見渡して「このサイドボートに・・チェスト・・」

すると彼が「サイドボードとチェストは使います」と言う、俺は?マークが炸裂してしまう。
「さっきの話と違いますね、そちらから売れる物を教えてもらった方がイイですよ」
二階への階段の壁のクロスに何条ものガムテープが亀裂隠すように貼られている。

二階床面に立つと傾斜がある、玄関もひび割れや隙間があった。
「このエアコンはどうですか? そんない使ってないですよ」
製造年を確認すると10年前なのだ。

久しぶりに落胆の大きい見積現場である。
結局、買取できそうな物は少なく、勧められる物は年式が古かったり、キズがあったりと・・・
「どうもありがとうございました」と大きく声を残して帰途に着いた。