リサイクル親父の日記

第334話 別腹ってこと? それどころではないんじゃない?

2011/07/27

俺は大食漢だから何でも腹いっぱい食べてしまう。
30代後半から50歳くらいまで風船のように膨らむ一方だった。
まぁっ、その後に高血圧になってしまい、お医者さんに厳しく食生活改善を指導されている。

発病後には食べ物の内容を変えたが、高カロリーから低カロリーにしたり、栄養の少ない物を多くするとか。
それも数年経つと耐えきれずに、一度減った体重が少しリバウンドして、以来横ばい状態でフリーズだな。
大震災のせいにしてはいけないが、あれ以来は言い訳なのだが、刹那的に大食が戻ってしまっている。

知らず知らず、本当は知っているのだが、肉類も菓子類も徐々に増えている。
~~ウ~~~ン、これではいけない。
年に数回来ているお客さんが震災後初めてやって来た。

石巻生まれの彼とはお客さんという関係から発展して、石巻の話も情報交換する仲になっている。
彼のマンションが半壊だったために、その修繕工事に入居者負担が相当出たとか・・・
彼の実家は母親が独り暮らしだったのだが、全壊でこれ又修理代が相当かかるとか・・・

どちらも地震保険に入っていないかったので、支援・義援金では間に合わずに自己負担が大きいと嘆くのだ。
それでも彼は笑い話として聞かせてくれたのが、せめてもの救いだと思う。
そんな感傷を誘う話題に終始して、俺も自分の損害や被害を報告的に語っていた。

それでも互いに何とか日常生活が戻りつつもあり、今後の立ち直りを誓いあったりした。
一段落して彼はおもむろに聞いてきた。
「・・ところで、最近、何か入りましたか?」

彼は単に近況報告に来たのではないのだ。
彼の趣味の品を探し求めて色々と歩いているのだった。
ふと我に帰った俺は考えたが、勧めるほどの品は思い浮かばない。

「そうですね・・、これといった物は入ってませんが・・」
「ガラスケースの中も変わりないですか・・ちょっと見てもイイですか?」
おもむろに骨董コーナーのガラスショーケースに向かった。

本当に彼は凝っているのだった。
俺はダメ元でもイイからと感じて、最近仕入れた品を勧める気になった。
「錆が酷いんですが・・あるにはありますよ、ご覧になりますか?」

「エッ!そうですか、是非、見たいですよ」
さっきまでの表情とは打って変わって、明るい笑顔で目を輝かした。
鞘から抜き出したとたんに、「ありゃ~これは酷い!」と驚くありさまだ。

「震災後でもあるし、安くしますよ」俺は誘った。
「それでイイんですか? 研ぎ代も結構かかるが・・それでも安いし、買います」
マンション修理代に実家の修理代もあるが、趣味は別腹なのだ。