リサイクル親父の日記

第335話 タイムシェアでハワイにリゾートだって

2011/07/28

常連ってほどではないが、偶に夫婦で買いに来てくれる。
ベンツとBMWの新車に乗っているから、店にとっては上客という位置づけである。
気に入れば即決するし、1点でも2点でも何でもパッと決断するタイプ。

2年前に最初に来た時は、所有してるアパートの一室が空いたので、そこを事務所にすべく事務機や冷蔵庫を買った。
以来、旦那が独りで来ることもあるが、夫婦で来ることが常態である。
去年夏頃には江戸時代の二本松箪笥を買った。

「あらっ、これイイワね・・買おっか?」、「そうだな、気に入ったんだったら買えよ」
と、二人はアッサリと即決するから、俺の方が面喰らったのだ。
俺の店で10万円以上の物を簡単に即決、値引きも要求せずに、そんなお客さんは驚きなのだ。

俺は夫婦の言動に好感を感じるし、自身の価値観に忠実な生き方にも共感を覚えている。
単に安い物を探しに来るのではなくて、良品を楽しみながら余裕を持って探しているのかも知れない。
偉ぶったりせず、成り金的にひけらかすこともなく、自然態で振るまっている。

「このジュータンは立派ね、何処なの?」
3畳の広さのターキー製を見つけて聞いてきた。
「ペルシャではないが、トルコ製の物ですよ、最近買取したんです」

「あの部屋に敷こうかしら、買うわ、ちょうだい」といつものように即決だ。
その後に世間話をしてたら、バケーションの話をしてくる。
「・・去年はハワイ島に1週間、マウイ等に数日行ってきたの・・あなたは行かないの?」

問われた俺は咄嗟に「時間なんて取れませんし、小売でしょ、年に1~2回、1~2日くらいしか休めないから・・」
10日も2週間も休みを取れるなんて、俺には羨ましい限りに思えた。
「時間とお金に余裕がないとできませんね、まあ、俺にはどっちも無理ですけど・・費用も相当かかるでしょうに?」

「飛行機代させあれば行けるの、泊まりはタダなの・・ヒルトンホテルに泊まるから」
その答えに俺は全く分からなくて「どうして、ホテルがタダなんですか?」と大声で聞いた。
「それはね、年会費ってのを払っているから・・なんて言ったけ? パパあれ?」

おもむろに旦那さんが答えてきた「あぁ・・タイムシェアのことね・・年間15万円だけだよ」
奥さんが「だから飛行機代だけ、ノンビリゆっくりできるわ、今年も行こうと思ってる」
俺には別世界のリゾートって思えるし、でも、毎日汗水垂らして働く生活も悪くないと思ってもいる。