リサイクル親父の日記

第340話 なんて造りだよ、パタパタ剥がれ落ちてしまってる

2011/08/01

店から車で20分くらいで隣町の名取市である。
沿岸部は地震の津波で甚大な被害があった街だ。
しかし買取先は名取駅に近い内陸であり、津波は来ていないから街並みはちゃんとしている。

でも詳しく見ると、古い建物は相当な被害もあるし、盛んに修理工事している家や建物がある。 
駅近くの白壁の蔵は風情があって俺も気に入っていたが、瓦屋根の中央部は脱落してるし、壁面の亀裂が走っていた。
取り壊すには惜しいし、後世に残す方がイイからか、建物全体を覆う足場が組まれて復旧工事が施されている。

買取先はそこから少し先で、新し家の前に新しいアパート2棟の一室だった。
農家が母屋を新築して、更に畑の一部にアパートを新築したのだろう。
敷地の前に入居者駐車場があって、2棟の真ん中道路を抜けて母屋に通じているのだ。

「・・半年前にここに来て・・今度実家に戻るんです・・」
彼女がどうして半年で帰るかは分からないが、買取としては嬉しい品々。
玄関戸を開けた時に俺は驚いたことがあった。

「アレッ? ここのタイル剥がれてますが・・どうして直さないんですかね?」
彼女が直すものではないし、普通は大家さんが直すのもである。
新築アパートだし、地震のためだといっても、もう4カ月以上も経っている。

「ハリボテ? 工事屋さんが忙しくって・・時間がかかるって言ってました」
間口半間の廊下までの立上がり部のタイル、L字部だから10枚あるかどうかの10cm角タイルである。
タイル裏面がパタパタ倒れている。

1cm幅で数センチ長さのノリ跡があるだけだから、あの地震で簡単に剥がれたようだ。
某有名会社の一見豪華に思える賃貸アパートだが、その造りの貧弱さに驚くしかない。
ハリボテ? 彼女の言い方が蘇ったが、それにしても粗末な造りである。

「ベットはこれですか?」
俺は又しても驚かざるを得ない。
「・・えぇ~これで買いましたけど・・」弱々しく答える彼女。

「ベッドの枠とマットのサイズが合ってませんよ、マットが小さいですね」
マットはシングルで枠がセミダブルサイズなのだった。
「でもこれで売ってましたけど・・ダメですか?」不安顔で問うてきた。