リサイクル親父の日記

第341話 どんだけぇ~調子がイイんだよ~ 

2011/08/03

買取現場では諸事情によって、店では要らないけどやむを得ず引取することがある。
依頼者が引越すけど持って行かない物、持って行けない物だったりする。
電話では全ての物を言ってる訳でも無くて、現場で新たに言われてしまった場合。

売れない物、例えば故障品やキズが酷くて売れない物などだ。
店は販売するための品物は欲しいけれど、ゴミは要らないから、そんな時は断るのが普通である。
しかし、依頼者からどうしてもと頼まれる場合もあり、その時は臨機応変に対処している。

そのケースで仕入れた物は産廃にするか、一定期間だけ激安で販売したりもする。
店としては産廃処理費を抑えるためでもあり、稀には瑕疵があっても激安に魅かれるお客さんもいる。
赤い合皮ソフトレザー2人掛けソファー、猫の引っかき傷が所所にあったから500円で出した。

「お~、これ買うわ、500円だよね、後で取に来る、イイだろ?」
「キズありますよ、それでの値段ですから、いつ取りに来ますか?」
「明日・・明後日には来るよ」と男は調子良く答えた。

ゴミ代がかからなくなったので、俺はホッとした。
ところだ、取りに来ないのだ。
毎日、直ぐ渡せるように準備してた。

毎日、朝に出せるように準備して、そして、来ないから又しまっておく作業を続けている。
手間代を考えると何をやっているのか分からなくなる。
1週間以上経って、やっと代理人が取に来た。

しかし、代理人はソファーを見て唖然としてしまった。
「・・これですか? 大きくないですか? 座イス程度だって聞いてたんですが・・・」
「いや、これですよ、間違いないですから」と俺は即答した。

外の車はワゴン車だったので、積むのは問題がないようだ。
代理人の妻は憮然として「積めないわよ!」と誰ともなしに話している。
すると「積むしかないだろ」と代理人も渋顔をしている。

後部座席と荷台にかれらの荷物がいっぱい積まれているのだった。
「・・この上に積むしかないな・・」二人の会話が聞こえた。
「無理ですよ、無理、一度荷物を出して、ソファーを積むしかないですよ」

長年の俺の目勘がそう言っている。
渋々のように、特に妻はダラダラと荷物を取り出している。
見ていられなくて、じれったくて、俺はバッサバッサと取り出して、ソファーを積んでしまった。

どんでもない手間のかかった500円ソファーだった。
買った男はとっても調子のイイ野郎ではないか!