リサイクル親父の日記

第345話 状態は問題ないっすよって、何これ!

2011/08/07

徒労に終わる出張見積もりは時々ある。
同時に出張買取でも徒労が起きるから、ある意味でしょうがないとは思っている。
だから電話で品物の確認を慎重にするという姿勢が身に着いてしまっている。

2週間前に電話があった。
「アンティークなチェストで2台並べて、天板が長い板で、それを2台の上に置くんですが・・・
そう一つは、食器棚、こっちは2~3年前のもので、どっちも状態はイイです、幾らくらいになりますか?」

電話で値段を聞く人は、大概はしっかりした人の場合が多い、そして電話で買取先を探しまくるタイプかな。
でも、電話聞き取りで買取査定をするのはかなり難しい。
どうしても安めに査定せざるを得ないし、条件も付けておかないと失敗してしまうことがある。

だから出来るだけ詳しく聞き出してから「チェストはX~X千円で、食器棚はX~X千円くらいでしょうね」
査定が安かったようで、すると彼は電話を切ってしまった。
車で1時間ほどかかる遠隔地でもあり、無理に買取しなくてもよかった。

数日前に彼から再度電話があった。
「・・前に・・見積してもらって・・それで、チェストを売りたいんです、いつ来てくれますか?」
電話だけの話で、2週間も前の不調の話を俺は思い出せないが、内容は特徴があったのでうっすらと思いだした。

「あぁ~~ところで、食器棚もあったよね?」
「あれは・・・チェストだけでお願いします」
チョッと気になったが、断るイイ理由も思いつかずに出張買取することとした。

4号線バイパスをひたすら北上して仙台市泉区に入る。
中心部を抜けて泉区の丘陵地帯の住宅街、マンションやアパートの建ち並ぶ一角に着いた。
2階の4号室の前に着くと同時にドアーが開く。

部屋に入って、そのチェストを彼は示した。
俺は目を疑った。
何と長い天板の上面は無数のグラスや食器の跡が円形に連なって変色してしまっている。

ニスは半分以上も消えてしまい木肌がザラついているし、色が斑にムラになっている。
木肌部に着いた汚れが酷い。
「状態はイイです」とハッキリ答えたんじゃないか、どういうこと?

買取は勿論無料でも引き取りなんてできない、商品ではなくてゴミでしかない。
でも俺は言葉を飲み込んで、アッサリとして「これは買取できませんよ」と伝えた。 
真夏の白昼の悪夢、気を取り直して落ち着いて運転して帰るしかない。