リサイクル親父の日記

第347話 買い戻し、売り戻し、状況が変われば・・・

2011/08/09

店の近くの借家に住む彼には10年以上前から利用してもらっている。
とは言っても俺の店ばかりではなくて、要するにどこのリサイクルショップでも買い物をするのだ。
俺の店には時々、月一だったり、数カ月に一度だったり、年に1~2度程度である。

この地区はリサイクルショップが多い地域で、例え彼が自転車でしか出歩けなくても4~5店は思い浮かぶ。
2月前に「LPガス湯沸かし器・・どこにも無いが、ここには置いてあるか?」と飛び込んで来た。
中古ガス湯沸かし器は程度が良くないとトラブルが多いので、俺は自分で取り外して自信のある物を扱うようにしている。

それは地震で解体する家から買取した昨年製造の物だ。
解体前に買取して欲しいと言われて、震災直後に引き取った。
「半年しか使わなかったヤツで未だピカピカのが・・」俺は答えた。

そして、取り付けはガス屋さんに施工してもらうようにと注意して販売したのだ。
今日一番に彼が来て「この前の湯沸かし器よ、買取してよ、もう使わないから・・」
理由は、借家が地震のために住めなくなってしまい、アパートに引越したという。

アパートには設備が揃っていたから不要になり、できるだけ高く換金したいと・・・
地震で買い取った物を、地震で壊れた人に売って、それで地震の引越しで不要になり、又、買取する、不思議なことだ。
その次にやって来た設備屋さんが似たようなことを言ってくる。

「1週間前に買い取ってもらった電動ドライバー、売れた? 未だある?」
彼は結構しょっちゅう売りったり、買ったりしている。
自分では使わなくなった工具を売り、必要な工具を買う。

どうやら仕事よりも工具や道具にこだわるタイプらしく、ワゴン車の荷台には工具類がギッシリと詰まっている。
そして飽き易いのかも知れず、頻繁に似た物を買ったりするし、売ったりしている。
「今度の現場でさ・・充電式だと直ぐにバッテリーが無くなるんだ・・・コード式であれば・・・」

「どうして先日売ったのさ?」俺は微笑みながら聞いた。
「いやぁ~ネジが長いし、打つ個所が物凄く多いし・・・売ったのを思い出して、飛んで来たよ」
過去にも同様に買い戻したことが何回かあった。

「そうですか・・値段でしょ? サービスしますから・・」
愛嬌のある彼に俺は弱い。
ほんの少しの手間代だけをもらうこととした。