2011/08/17
大きくて立派なマンションは戸数が100以上、若しくは200近くありそうだ・
駐車場も2~3か所あるが、トラックの止める場所は見当たらない。
いつものように管理人室に行って、用件を伝えて、駐車場を指示してもらう。
地面の舗装から建物基礎部の所々や立ち上がり部にひび割れや小さな亀裂が見える。
タイルが部分的に剥がれてもいる、大震災の傷跡が生々しい。
管理人は何か特権でも持っていいるかのごとく、横柄に命令口調で注意を言っていた。
9階でエレベーターを降りて部屋に着いて、中に入って、俺は驚愕してしまった。
家具という家具はキズだらけ状態だし、和室にはゴミのように物が積み上がっていた。
通路の壁にも部屋の壁にも亀裂が数条走っているのだ。
それに和室の天井が半畳ほど抜け落ちているから、屋根裏が丸見えで吹き付け発泡が綿のようにぶくぶくしてた。
流し台のステン巻きの縁はべコリと凹んでいる。
「凄かったですよ、冷蔵庫はこっちまで動いてたし、家具は転倒しまくり・・・」
「もう5ヶ月ですよ、昨日地震があったばかりって感じですね」と片付けの終わってない部屋の感想を口にした。
「うちは賃貸だから、まぁ、しょうがないですが・・・下の方の部屋に壁が透けているところが・・・」
それは信じ難い話に聞こえたが、詳細に見るとキズに傷み(同じか?)、亀裂に破損がいたる所にあるのだ。
家具をエレベーターに積み降りる時に、依頼者の近くに住む主婦が話しかけてくる。
「あのお宅は賃貸だからイイけど・・わたしらは・・とっても大変なのよ、修理の費用がどうなるのか・・」
何気なく通り過ぎてた立派なマンションなのだが、これほど甚大な被害があったとは思いもしなかった。
この地区も田圃を埋め立て開発したのだが、揺れは半端じゃなかったそうだ。
帰途についてトラックを駐車場から出した。
ゆっくり進んで半周して本道に出ようとした。
道路から1階や2階を眺めると、ビニールにガムテープが異常に多数窓や壁に各貼られている。
どの部屋もなにかしらの応急処置が施されている。
そして、建物中間部で1m四方コンクリートが脱落して、内部の鉄筋が魚焼き網の様に丸見えしているのだった。
・・・・言葉も出ないって感じだ。
先の話は真実だし、事実は百聞よりも一見に敵わず。
どうしても人ごとには思えずに、俺も憂鬱になりそうだ。