リサイクル親父の日記

第360話 暑さがひと段落したんだって、いらっしゃいませぇ~

2011/08/24

常連さんではあるが、俺の店だけではなくて、何処のリサイクルショップにも出かけているようだ。
商売は料理屋さんで、10年以上前に創業している。
田圃が多い田舎に古民家を買い取って始めていた。

東京や横浜での暮らしも長くて、センスも大変良くて、物の見極めも確かである。
自分を分かっていて、価値観が合えば、そして、気に入れば決断も早い。
自宅用と店舗用、更には知合いや友達の付き合い用にも買い物をしている。

だから彼女の志向はあらゆる品に向かう。
それは店にとっては大変貴重で得難いお客さんなのである。
下流のリサイクルショップにはイイお客さんが少ないから、俺としてはVIPだと思っている。

もっと言えば、彼女は俺らに対しても時々気遣いを示すのだ。
お客さんの気遣いは有難味が格段に違うから恐縮してしまうし、ついつい俺は倍返しのサービスをやってしまう。
1ヶ月前に店に来たが、エアコンも無い猛暑の店内である。

「暑いわ、又、来るわ」とんぼ返りとはこんなことだろう。
1分でもない、1秒以上ではあるが数秒の出来事だ。
欲しい物がある目的買いではない、何かないかなという探し買いなのだ。

無理に猛暑の中に身を投じる必要もない。
彼女の帰った後に、今度は涼しくならないと来ないかなと思った。
それでここ数日の涼しさがあって、そろそろ来るかもしれないと感じていた。

昼食時間を過ぎて夕方近くに彼女はやって来た。
「やっぱり久しぶりに来ると、色々な物があるわね・・」といつも以上に時間をかけて店内を物色する。
2~3時間も居て、途中コーヒーを飲んだり談笑して、最後に買い物をする。

「このスタンドは店にイイワね・・・簾は古いけど上物ね・・・柿の白が好き、藍色がとっても気にいったの・・」
ちょっと古いできのイイ上物をやはり選び出す。
7~8点を清算して、俺は可愛い白の車に積み込むのだった。