リサイクル親父の日記

第371話 デザイナーズ家具って、俺の店では売れないぞ!!

2011/09/04

仙台のリサイクルショップも色々増えていて、それぞれの特徴がある。
特徴はお客さんのターゲットを表すし、品揃えもそれを証明している。
そんな中でどれをとっても力不足は否めない俺の店ではある。

いつも思っているのだが、基本的には集まるのを拒まないという姿勢でいる。
10数年もやっているから、経験として扱えない物もそれなりに分かっている。
値段の高低ではなくて、世の中のニーズが無い物とリサイクルショップでは売れない物がそれである。

半年以上前に女性から買ったデザイナーズ家具がある。
電話で盛んにそのブランドのことを説明してたが、現物を目にして俺は軽いめまいを覚えた。
あんまりチャチイくて貧弱で粗末な造り、そして、その値段に腰を落としてしまいそうだった。

ご丁寧な彼女は、買った時のカタログを大切に持っていて、それを示した。
「若い人にとっても人気があって、それで気に入ったの・・引越しするから・・」
俺は彼女に説明したんだ。

「そうですか・・でも、リサイクルで売るとしたら何ぼにならないし・・買取はしますが安くしか・・」
「ウ~ン、値段は安くてイイの・・ただ、ブランドを分かって欲しくて・・それに、わたしは飽きたの」
潔いというよりも自分が飽きた物だから未練は微塵もないという風だ。

店に陳列すると、多くのお客さんは物珍しげに触ったりして検品する。
しかし買おうとする行為ではなくて、あくまでも珍しさゆえであった。
彼女が買った値段の10分の一以下の値段だから、本来であれば飛ぶように売れてもおかしくない。

ところが全く売れる気配は無くて、そうして時間だけが過ぎてた。
一般的なおじさんやおばさんが大半の店だものお洒落な物やブランド物が売れ難いのだ。
スタンダードなポピュラーな物が圧倒的に売れ易いのである。

だから店のディスプレーになってしまうのが運命だし、結構ディスプレーが増えいる。
そんなある日に同業者がフラッとやって来た。
彼こそはブランド家具をネット販売にしているプロである。

「これ! この値段でイイんですか? あのブランドですよ」
たまに来て、超激安の家具を仕入れて行ってはネット販売で稼いでいる。
俺の店だけではなくて、仙台市内以外にも出かけては仕入れをしている。

そういうことです、見る人が見れば、分かる人が見れば、それは超安い値段なのです。
裏を返せば、好き者しか買えない物でもあるのです。
需要と供給という商売の原則を改めて知る機会であった。