リサイクル親父の日記

第375話 北海道のおじさんは帰ったが、埼玉の彼はこれから2年間・・・

2011/09/09

大震災後の復旧が本格的に始まった頃だから4月だったと思う。
トヨタのワンボックスカーに前座席以外の場所にギッシリ電動工具と道具を積み込んでいたおじさん。
「冷蔵庫欲しいんだよ・・暫く仙台で暮らすからさ・・」

言葉で彼が現場工事関係者だと直ぐに分かった。
イントネーションとザックバランな気さくな話し方で、北海道の人だとも分かった。
「3~4ヶ月の約束で来たんだ、部屋に冷蔵庫も無いしな・・冷えたのも飲みたいしな・・」

「帰るときさ、買ってくれるか?」
「その時の状態によるけど、普通に使ってもらえれば買うことはできると思うよ」
そして、やっぱりギッシリ積み込まれてるワンボックスカーでやって来た。

「少し延びたけどさ、やっと帰れるよ」
北海道の人は気さくな人が多いから、一度会うと旧懐の思いが出てしまう。
「復興のために頑張ってもらって有り難うございました、家に帰ってゆっくり休んで」

そんな会話で俺は売った冷蔵庫を買い戻した。
その日は似たような真逆の販売もあった。
「俺、会社の出張で気仙沼に長期滞在してるんだが洗濯が無いんだ」

昨日、気仙沼から洗濯機の下見をしに来てた男性が今日も来た。
「最低2ヶ月は居るからさ、毎回コインランドリーもね・・被災者も利用するので混み合うしさ・・」
彼は大変饒舌だ。

重機オペレーターとして出張してる。
気仙沼でリサイクルショップで探したが、思うよりも高いし、品物が少なくて選べない。
仙台に居る友人に相談したら、仙台で探した方がイイとアドバイスを受けた。

昨日から今日にかけて友達に会うのと洗濯機探しに来たらしい。
饒舌だが、洗濯機の取り付け方は全く知らなかった。
一から取り付け方を教えて、それでも不安もあって、店の水道蛇口に連れて行って手取足取教えた。

「なんで気仙沼の店はあんなに高いんだ?」
その質問に俺は答えようがないが、思い当たる節はあることはある。
一般論だが、店舗が少なく競争が無いと、物はある程度高くても売れる。

競争が無いと売り手が有利だし、競争が激しいほど値段は下がるようだ。
気仙沼には、俺の記憶だと2店舗しかない筈だ。
この震災と津波の影響でどうなったかは知らないが、競争が無いに等しいことに変わりはなさそうだ。