リサイクル親父の日記

第384話 大きくて飾れないっす、だから売れないっす 

2011/09/18

大きな油絵であった。
1.5m強のやや横長サイズで山村の麦藁屋根民家が描かれてた。
穏やかな青空の下にのどかな民家が郷愁醸し出していた。

震災後に解体するという家からの買取品であった。
民家と眼下院が一体になっていて、築年数は40年くらいだった。
先代の先生は無くなってたが子供さんが後を継いでいる。

子供とは言っても俺と同年輩の2代目先生である。
「思い切った立て直すことにした、病院は近くにある空き病院を借りて継続して・・・兎に角片付けて・・」
先代は絵が好きだったようで10点ほど残っていたし、他に囲碁が3セットなど趣味も多彩だった。

病院の入り口、待合室、住居の玄関、通路などに飾られていた。
俺は、できるだけ持って行って欲しいと言われたが、ワゴン車に積める分しか持てなかった。
トラックは混雑する場所で無理だったし、隣のコンビニ駐車場に止めておくしかなかった。

買取金額うんぬんではなくて、できるだけ物を減らしたいとことである。
売れそうな物だけを選んだのだが、実際にはどれ位売上がつくれるか心配もあった。
油絵は数十年の埃を溜めていたし、画家の名前も分からない人ばかりである。

店に戻って絵をカウンター内に降ろして、1点ずつ検品したりネットで調べるが、やはり高名な人はいない。
同じ画家の絵が2点あったのだが、大きな絵と普通のサイズ、画風が同じで里山を描いてある。
絵の掃除方法は分からないが、丁寧に誇りを取り去った。

値段は俺の独断で決めるしかない。
そんな時は、俺だったら幾らで買うかを考える。
損しない値段で俺が買ってもイイかと思える値段は、相場からみれば激安な筈だ。

女性の絵から売れていった、数点売ったら仕入れ原価になった。
思うより売れ行きが良くて原価回収もできたので一安心。
これからは利益だし慌てて売り急ぐこともないと思う。

その大きな絵はたくさんの客さんの関心を引いた。
「サインはありますが・・調べられませんでした」
お客さんは皆一様に質問をするが、俺も同じことしか答えることができない。

「イイ絵だな、落ち着くし・・でも大きいんだよな、飾る場所がねぇ~~」
最後に売れ残って、それから数ヶ月間同じ繰り返しが続く。
過ぎたるは及ばざるが如し・・・これには気をつけないと・・