リサイクル親父の日記

第386話 1階だけど2階です、傾斜地なんで・・

2011/09/20

傾斜地に建っている建物は階数で迷うことがある。
場所を聞くと、仙台市泉区八乙女中央だから問題なさそうだった。
「106号室ですが、2階でして・・」と若者は言ってた。

「1階ですよね、それが2階ってどういうことですか?」と更に聞いた。
「えぇ、傾斜地で基礎が高いようで・・1階だけど階段を上がるんですよ」
俺は納得できた。

地下鉄の駅から遠くないが、背後に急斜面の丘が見える。
大きくうねった道路は上方へ伸びてて、その辺も大きなマンションやアパートがたくさんある。
目的のマンションがなかなか見つからない、どうやら斜面の最下部で入り組んだ道路の奥のようだ。

やっと見つかったアプローチ道は狭い、注意深く直進した。
確かに斜面を背負っていたが、右折して行く必要があるが、狭過ぎて曲がれない。
地震で空き家になったようなアパートの前に路駐して歩いて向かう。

高々20mの道も急峻で俺は息が少し上がる。
玄関から階段数段上って左折して、更にもう一度登って、最後に数段降りてと迷路のような通路を歩いて部屋に着いた。
1ルームの部屋の真ん中に買取品を10数点並べていた彼。

「どれも1年未満で・・パン焼きは最近買ったばかりで・・」
電子レンジ、ジャー、電気ポット、トースター、乾電池の山、延長コード・・手動鉛筆削り、パンチ・・・
テーブルとイス、しかし、一様に白色ばかりだった。

「引越しでもするんですか?」
「いえ、邪魔なんで片付けです」
「部屋の割にテレビどデカイですね、かえって見難いんじゃないの?」

「46インチですよ、去年買ったんですが、ええ、見づらくて・・高く買ってもらえれば売ってもイイですよ」
しかし、それは不調に終わる。
テレビは値下がりが激しいから、例え1年前でも現在の査定ではあまり高くは買えない。

小物だけを買取できたが、運ぶのがあの階段を何度も行ったり来たりした。
俺は汗が顔から胸から吹き出していた。
トラックで帰る時、不思議な買取内容だった訳をあれこれ考えた。

調理器具を全て処理したようなもんだ。
最近は部屋で食べるにしても、インスタントやコンビニ弁当で間に合うだろうとは感じる。
彼は料理をするタイプには思えないし、すると彼女と分かれて要らなくなった物か?