リサイクル親父の日記

第391話 この貼紙では無理だよ、やれませんよ

2011/09/25

仙台市青葉区のど真ん中の賃貸マンションで結構新しい。
1階の路面側はテナントのお店が5~6軒あった。
玄関はその外れでガラス戸が二重だが、エレベーターが奥に位置してるから通路が異常に長い。

壁も床も真っ白くてガラス戸越しの陽光も煌めいていて気分がイイ。
そこを歩いて奥のガラス戸付近のインターホンを探す。
ドアーが開いてエレベーターに向かう途中で貼紙の多さに気付いた。

管理人室の明かりは点いているが不在、その窓の左右にベタベタ貼紙。
1~2枚に目がいったら、ゴミの出し方の注意、それに台車使用禁止とあった。
??と感じて目を凝らして読んだ。

荷物運びに台車を使用してはならない!
衝撃的な文面に、俺はこれから始まるソファーと食器棚の買取をどうしたらいいのか悩んだ。
比較的長い距離を台車無しで手運びするのかって、重労働にウンザリしてしまう。

エレベーターの乗ったら又しても貼紙がベタベタ、その中に気になる1枚があった。
荷物運びの時は内部を前面養生のことって、又しても衝撃が走った。
1個、2個の荷物で養生をするなんて想定していない、準備もしてない。

依頼者の部屋は409号室という相当端の方だ。
ドアーが開いて依頼者の彼女と目があった時、俺は直ぐに状況を説明した。
「・・・だから、今日の買取は出来かねますが・・・」

彼女と彼氏は困惑してる。
「普段、みんな台車で運んだりしてますよ、何回も見てますし・・」
「でもね、業者である俺らはそうはいきません、できれば管理人さんに了解を取ってもらわないと・・」

「わたし、話してきます」と彼女は直ぐに部屋を出た。
残った彼氏と俺は部屋の中で待った。
ちょっとしてから彼女は明るい顔でも立って来た。

「1度に5~6回運ぶ程度なら何もしなくてもイイって、それに台車もイイって」
「変な話ですね~」と俺が言うと、彼氏も「ホントにおかしなことだよ」と追随した。
俺は台車の入口に置いてきたことを後悔した。

「それじゃ、みんなで下まで運んでもらえますか?」と誘う。
2基あるエレベーターの大きいのを使って、俺らはワイワイと一緒に入って下ろしたんだ。
随分前だったが、本当に台車を使えずに手ぶらで帰ったこともあった。