2011/10/02
買い置きっていうか、買ったが物は後日取りに来ますっていう状態。
勿論代金は清算してもらって一時的に預かるのだが、それも1週間程度が目安。
創業した頃、まさかそんなに長期になるとは想像もせずに受けてしまい、半年も預かざるを得ずに苦労したことがある。
だから苦い経験はその後の対策に役に立てているし、精々2週間、余程の事情であれば1カ月が限界。
50代の彼は月に1度くらい、多い時は2回くらい来てくれる常連さん。
もう10年以上になるかな、俺の店では紳士的で穏やかな人だ。
雑貨から食器から小振りの家具から全般的に気に入ると買っている。
アウターからマフラー、ゴム長などの身に付ける物も選んだりする。
陳列している商品の7~8割が彼の購買対象であり、必ず数点は買って帰るという上客である。
彼は今回の津波で家を流された名取市の「ゆり上」に住んでいた。
震災後に数回来てたから、俺らは互いにお見舞いを口にして簡単に状況を確認し合ってた。
前回、2週間前には、今後のことを言ってた。
年老いた両親のこともあり、何処かに新築すると、できるだけ金をかけずに必要最小限で建てるつもりと。
今日彼は店に入ると直ぐにレジに来た。
「あの本棚もらいます、ガラス扉の」彼には珍しくキッパリと宣言する。
店にとっての問題は次に言葉だった。
「来年8月まで・・その時に引き取りたいので・・預かっててもらいたいので、お願いできますか?」
「ン!? 来年8月って、約10月間も・・・それは~~~」俺は渋った。
工務店が混んでいて、来年4月着工で8月完成予定。
凄くこの本棚が気にってるので売れてしまうと困るから・・・
それに、知合いに預かってもらえれば、その時点で引き取るからとか・・
本音で心情を吐露してるし、俺も彼の紳士的なこれまでの言動を思い出すと無下にも断れない。
「・・そうですか・・・それは・・分かりました、預かります」
店の決まりを俺が勝手に破ることの矛盾を感じる。
でも・・・ちゃんとしたお客さんにはちゃんとした対応をしてしかるべきだと思うのだ。
経済効率や面倒さだけを考えててもしょうがない。
お客さんとの人間関係もイイんじゃないか、少しでも役に立てていると思えるし。