リサイクル親父の日記

第402話 旧知の彼が・・・家を買うって、本当に良かった

2011/10/07

5~6年昔、40代で巨漢の彼が俺の店に来た。
「今度独立して便利屋を始めます、ついては何かあればお付き合いして欲しいのですが・・」
口上は丁寧で礼儀正しいし、俺は店に損になる訳でもないし、むしろ利が一致すると感じた。

ウインウインの関係になればお互いにイイと思った。
「こちらこそよろしくお願いします、買取できる物はどんどん買取しますよ、現場にも出向きますから」
そして、どうして便利屋をやったのかを尋ねた。

サラリーマンの先があんまりパットしないと考えるようになった。
先の人生を思うと独立開業したいと思って色々調べたら、フランチャイズの便利屋が見つかった。
それなりの初期投資はかかるが資金は都合がつくので、思い切って始めることにした。

数ヶ月間はチラシを配りまくったので、少しだが仕事が舞い込んだ。
しかしペイするには程遠い、本部に相談するとチラシが足りない、タウンページにも大きく載せろと指示される。
営業赤字の中、彼は本部の指示に従って金をかけまくった・・・が、結果は推して知るべし。

僅か2年弱の便利屋家業で資金は枯渇して、それでも足りなくて年老いた親にすがったそうだ。
廃業後にある会社に雇われるが、今度は正論を主張し過ぎてオーナーと喧嘩したんだ。
そこも1年強って感じで止めた。

折々に彼は店に来たし、彼の引越しの都度に家具などの引き取りをした。
同時、店からも必要な家電などを買ってくれた。
半年から1年の間隔で奥さんを伴って来ている。

数日前に来た時に俺は驚くというか信じられなかった。
結論として、現在彼は教職についている。
そして何と家を買うことになったそうだ。

あのどん底から見事な復活ではないだろうか?
9回裏2死満塁で逆転サヨナラホームランか、後半ロスタイムの決勝ゴールだろうか?
最初の時から笑顔が多くて、恵比寿様か大黒様って感じだったが、益々笑顔が素敵になっている。

どんなマジックがあるかは知らないけれど、彼が元気になって行くのが嬉しい。
あの逆境でもめげずに前を向いていたから克服できたのだろう。
俺は初めて彼には敵わないと思った。