リサイクル親父の日記

第404話 お爺さんには手取足取で教えてっと・・・

2011/10/09

もう10年以上も前だった。
リサイクルショップをやり始めた頃、中年のおばちゃんにワープロを売ったことがある。
「あらっ、安いわ、これちょうだい」と明るく軽く喜んでいた。

翌日、彼女はワープロを持って店に来たから、不安を感じた。
「あのね、使い方が分かんないのよ、如何すればイイの?教えてよ」
経験は無いというから、それは一から手取足取せねばならなかった。

数日間教えた結果、「わたしには無理、返品するわ」と彼女が言う始末。
俺はだから、買うお客さんの能力を確かめることも必要なのだと知る。
パソコンでも似たことがあった。

「お客さんの家族に教えてくれる人がいるんであれば買ってもイイですが、店では教えることまではできませんよ」
そんな説明をしてからでないと、ちょっと取り扱いのややこしい物は誰かれに迂闊に売れない。
「いるよ、息子に教えてもらうよ」と答えたおっさんは、やはり翌日持って来た。

「息子が忙しくて教えてくんないから・・・最初だけでイイから教えてくれよ」
その後の数日間はおっさんにかかりきりで教える羽目になり、店のことが全く手を付けれなかった。
昨日、常連のお爺さんがファンヒーターを買ってくれた。

今日電話があって「点くけど直ぐに消えるんだよ・・・何度も同じでよ、故障してたんじゃないのか?」
「え~と、そうですか・・ところで設定温度を上げてみてください、25度とかに・・」
そして電話で設定温度の変更の仕方を数回説明した。

1時間後に再度電話があって、「やっぱりダメだよ、別な物と交換してよ」と言ってきた。
車で5分と近いから、俺は交換品を積み込んで出向いた。
勿論、設定温度は22度と店でチェックした時と同じだから、お爺さんは変更をしていなかった。

だから現品を目の前に俺はコンセントを差し込むことから説明した。
1回は俺が説明しながら操作して、次にお爺さんに操作をさせる。
なかなか理解できないようなのだ。

「あぁ、温度セッテイ?? 何だそれ?」
温度センサーのこと、自動発停のことなど四階も5回も説明した。
「初めて使うな、こんなストーブ・・なんとなく分かったわ」

ヤジキタの漫才でもないのだが、現実としてこんなことが必要なのだ。
しかしファンヒーターを買う人を選ぶ訳にはいかない。
兎も角、分かり易く説明するようにして販売するしかない。