リサイクル親父の日記

第415話 紅潮した顔で叫ぶの~~

2011/10/20

リサイクルショップは金やプラチナの買取もやるから、俺も真似してる。
創業の頃、指輪やネックレスを売りに来るお客さんがいた。
無知な俺は幾らで査定してイイかも分からず、しかし、商売だから勇を奮って買取したものだ。

買取品をショーケースに並べて販売していた。
ダイヤの指輪や18金のネックレスやブレスレッド、真珠もあった。
市価よりも相当安価ではあるが、必ずしも売れ行きは良くないのが実情である。

品数が少ないから気に入った物を探せないとなる。
稀に買うお客さんはいたが、地金相場以下でしか買わないから、売れても利益は少ない。
ある日気づいたのだが、いつの間にかダイヤの指輪が盗まれていた。

夜中に泥棒が入って貴金属やブランド品を持っていかれたこともあった。
それは買取した分だけ損失を被ったこと、少ない利益なんて吹っ飛んでしまっていた。
それ以来高額品は無理には買取しないことに決めた。

数年前から金プラチナを買い取る専門業者が仙台に進出していた。
俺はそこに転売すれば盗難のリスクは無くなると感じた。
そして俺も少し積極的に少し無理して金プラチナを買取することにした。

昨日中年の女性がブレスレッドを持ち込んできた。
「別な店で査定してもらったのよ、ここは幾らになるかと思って・・・」
競わせるというよりも、実際の査定は幾らかを知りたいという思いが強い。

刻印を確かめて、重さを測って、単価を乗じて金額を出す。
俺の業者への売値から店の手数料を若干差し引いて、彼女に示した。
「エッ!!?? そんなになるの? 本当に!?」

彼女は興奮して紅潮した顔で同じ感想を数回繰り返し叫ぶ。
「金を買取する店は多いと思いますが、まぁ、ウチは少し儲かればイイと思ってます」
「だってぇ~、違い過ぎるのよ、あっちで売らなくて良かったわ」

決して俺の店が一番高い訳ではない、前の店が超安く買取するということで業界では知られている。
更に最近では「押し買い」という強引な出張買取詐欺が横行している。