リサイクル親父の日記

第417話 学生にさんざん文句を言われてしまう

2011/10/22

リサイクルショップは色んな人から買取依頼の電話が舞い込む。
電話なので相手は見えないし、声色で判断するしかない。
口数の少ない人の場合は判断するまでに時間がかかったり、何を欲しているかが掴み難い。

反対にベラベラと前説も含めて余計なことまで付け加える人もいる。
「テレビ台2つ・・・食器棚2個・・・勉強机2つ、本棚2個とベット・・ソファーとか・・・」
声は若い男に思えたが、品物の内容はちょっと違っている。

「いっぱい・・たくさんあるから・・見積に来て下さい・・たくさん・・」
出だしから少し分かり難くて、言葉の使い方も幼稚なので、年齢が想像し難かった。
「電話で見つもしできますから、もう少し詳しく教えてください、使用年数や傷があるかどうかとか」

「テレビ台かな・・長いで~す・・え~と・・90cm・・・高さが50cm、もう一つの高さが60cm・・・
もう一個のテレビ台は~~70cmの・・40cmで高さが60cm・・・」
「横幅、高さ、奥行きをそれぞれを教えてください、2台とも別々に・・」とダラダラ説明に注意をした。

「食器棚、1個は長さが90cmくらいかな・・・高さ90cmの・・もう一つの高さが30cmで・・・」
「扉はありますか?ガラス戸が付いているとか・・・」と促した。
「あるけど・・・ガラス? 色っぽくて・・、別なやつには無いよ・・大きさは・・50cmで・・・40cmの・・」

一つの説明を聞いて、現物の想像ができるまでに何度もやり取りしないとならない。
拙い説明は説明になっていないから、あらゆるチェックポイントを確かめる必要があった。
10分以上15分も電話で話していたかも知れない。

要領を得られず、「すいませんね、ウチでは買取はできそうにありません」と電話を切った。
数分後に再度電話がきた。
「どうして電話切ったんだよ! ふざけんじゃないよ、あんたね・・・」

彼は俺が断ったのを恨んでいる様子だ。
「大体ね、なんだよ、聞き方が悪ぞ、あんたの店は誰にも支持されねぇぞ!」
この輩は厄介だから避けるしかない。

「そうですか~」声を低く答えた。
「そんなやり方じゃ潰れるからな、どうだ、学生に怒られて」
「えぇ、そうですね、しょうがないですよ、これしかできないので・・・」

幼稚な学生の単細胞だと分かった。
自分の愚かさを棚に上げて、そう思えば冷静にもなれる。