リサイクル親父の日記

第421話 そんなに大喜びしてくれなくても~~~

2011/10/26

お客さんを覚えるきっかけは色々あると思う。
嫌なことがあった場合もあるし、短期間に何度か来るので記憶に残る場合など・・・
店にとっての高額品や珍品を買ってくれた場合などで、お客さんと必要以上の会話を交わした時は覚えるものだ。

好感を持てる場合、お客さんも好感を持っている場合が多いと思う。
小売でも対人関係は大切だし、好き嫌いがあると接客にも微妙に影響する。
売る側の俺はぶっきら棒で無愛想で傲慢気味に見えるらしいから、自分を出さないようには努めている。

それでも会話を交わす時にはどうしても地が出るので、嫌なお客さんには隠し通せない時もあるらしい。
好きなお客さんや好感が持てるお客さんには、何も気にせずに地で接しても構わないからとっても気楽だ。
そんなお客さんが多い日は俺にとっても最良であり、売上の多寡も気にならない。

朝から気楽なお客さんが続く日は疲れないし、話をしてて楽しくもある。
しかしながらコーヒーの飲み過ぎと喋り過ぎで・・・ちょっと疲れたりはやむを得ない。
今朝一番で古い型の黒塗りクラウンで中年男性がやって来た。

ノボリを外に出している時だ。
「もうイイですよね? 火鉢を買いに来ましたよ、やっと女房の許可を取ったんで・・・」
彼は急いで火鉢の方向かって行った、俺はノボリを出し終えてからレジに戻る。

目的の火鉢に何種類かの五徳を合わせていると、「どれが合いますかね?」と聞いてきた。
「鉄瓶の大きさにもよるでしょうが、その中くらいの物でイイと思いますよ」とアドバイスした。
「え~と、火箸は何処でしたっけ? 全部揃えないと・・・う~ん、どれも皆イイ物ばかりで迷いますよ」

十数組の火箸を手にとって検品している。
「先日もイイ物を買わせてもらいましたが、今日も・・本当にありがたいですよ、有難うございます」
彼は破顔して実に幸せ一杯って感じで喜びを爆発させている。

「火箸も・・頭に小鳥が付いたりしてて・・イイですね・・・こっちは細かい彫り物がありますね・・・」
1組ずつ丁寧に慈しんで触れて確かめている。
「う~ん、迷うなぁ~~全部って・・・4組だけ今日は買わせてもらいますよ」

火鉢、五徳、火箸4組を彼は手にして何度もお礼を言ってくれた。 
前回は俺が出かけてた時だったそうで、真鍮の香炉を同じく喜んで買ったそうだ。
2回目と言う訳だが、きっと俺の記憶に深く刻まれたろう。