リサイクル親父の日記

第422話 とても世話好きなお父さんです

2011/10/27

国道45号線の賃貸マンションの前で彼は待っていた。
日曜日早朝の仙台の街中、時間が時間なので車は思った通り少ない。
道路に立っている人も彼以外に居る筈も無く、依頼者だと直ぐに分かった。

マンションの1階の駐車場を示して、そこにトラックを止めろと言ってる。
しかし2階部分の建物に覆われているので箱車が入る訳は無く、俺は路駐をした。
車が少ないとは言っても仙台の街中だからそこそこは走ってて、その合い間を見てトラックから降りた。

娘さんのマンションの後片付けで、石巻から今朝両親が出かけて来たのだ。
最初の電話では、午前中であればと言ってたが、場所が問題なので、俺は朝を指定したんだ。
次に彼は娘さんの状況をこと細かに説明していた。

それはまるで自分が使っていた如くに詳細を説明してた。
俺はこれほど娘さんのことや使用してた家具家電に詳しいことに驚いたけど・・・
「その日は娘はいませんが、わたしらが分かりますし、まぁ、物はちゃんとしてますから」

その朝、俺は約束時間よりも少し早く着く様に店を出た。
店を出て5~6分したらケータイが鳴った。
こんな時間に俺に電話をくれる人は知らない。

勿論登録してないナンバーだから・・間違い電話かと思いつつ出た。
「今日お願いしてた・・ですが、今マンションに着きましたので・・」
ある程度の予想はあったが、到着を知らせてくるとは考えていなかった。

「こちらも向かってます、もう10~15分で着きますから」
でも、こんな具合に早めに依頼者とやり取りできるのは安心できる。
早朝で約束時間に遅れる人もいるから、それは次の予定や店の開店に支障をきたすから最悪なのだ。

買取品は正に言ってた通りに寸分と違わない。
「冷蔵とかから運んでください、ベットはバラしますから・・・」
何事にも主導して仕切るタイプで、尚且つ、自分も一生懸命に動く生真面目な中年お父さん。

冷蔵庫をトラックに積んで部屋に戻ると、「次は洗濯機がイイですね、ベットは途中ですので・・・」
お父さんとお母さんは二人で慣れないベットの分解中だが、俺は指示された通り動く。
次に戻ると、ミニ食器棚を運ぶことになったが、お父さんは狭い通路から出してくるのだが・・・

お互いの立ち位置が重なったりして邪魔だったりする。
分解したベットの部品も似たような運び出しになってしまう。
「すいません・・・こっちで出しますから・・少し中に下がってもらえませんか・・」

作業終了。
ほとんどの人は部屋で分かれる。
お父さんはトラックまで降りてきて、「それじゃ、気をつけて・・」と手を振ってくれた。