リサイクル親父の日記

第423話 顔が熱くって、頭から湯気出てない・・・

2011/10/28

俺は短気なのかも知れない、普段感じないけど、時々怒髪天を突くってことがある。
自分の顔が熱くなっていくのが分かるし、押さえようとしても押さえきれなくなってしまう。
こんな状態の時は無言、反論をしない方がイイ。

反論を口にしている自分の言葉に余計に怒りがこみ上げるのだ。
人生も長いので、何度もその経験があると自覚してる。
何処で怒って、何処で押さえるかを少しは分かってるつもりだ。

俺にとっての正論に封印することは物凄いストレスも伴う。
無意味な論争やバカな奴との論争をしない、無視してやり過ごすという知恵が少し備わったかも知れない。
根が単純で一本気な性質もあり、その辺をウロチョロしながら折り合いをつけている。

アパート2階の1Kであった。
ドアーを開けると窓からの逆光で一瞬目がくらむ、部屋の中はすっかり片付いている。
買取依頼品が残っている状態だと分かった。

「その洗濯機と冷蔵庫にレンジ、棚やプラケースはこっちあるよ・・」と居丈高な物言いだ。
俺は玄関脇の洗濯機を見た時に訝ったが、蓋を開けて製造年を確認した。
電子レンジも冷蔵庫も見た目だけで古いと分かるのだ。

「え~と・・確か新品で買って4~5年と聞いてましたが、どれも10年以上のようですが・・」
腕を組んで太り気味の腹を突き出した中年オヤジが、俺の言葉を聞き流した。
「何でも引き取るって言ってじゃないか?! 俺は今日ここを引き払うんだ」

「でも年式が違うんですよ、買取も引き取りもできないですね」
横柄なオヤジの顔が赤くなってきている。
「会社が買って用意したんだよ、そんなことイイから皆持って行けよ!」

「そんなことはできませんよ、売り物にならないし、帰ります」
俺は部屋を出るために靴をはいた。
「オイ! 何だよ、何でも持って行くんだろうが、その言い方はなんだ!」

俺は怒りが込み上がっていた。
年式の嘘を言われて、狭い道路をトラックを慎重に運転して来て、無為に終わる虚しさ。
それに頭ごなしに言われないことをガンガン浴びせられて、腸が煮えくりかえっている。

これ以上俺が口を開けば、俺が切れてしまう。
「オイ、何だよ・・」と背中で聞きながら、足早に階段を下りた。