リサイクル親父の日記

第425話 申し訳ないけど、これもイイかしら~?

2011/10/30

買い物をする時に、「申し訳ないけど・・・」と前置きしながら買う場合はどんな場合だろうか?
リサイクルショップとしての俺は、時々お客さんがそれを言う時ほど気分がイイことはない。
この感謝(?)を含んだ言葉を聞くために店をやってると言っても過言ではない。

買って得をする、それが想像以上に得をしたと本心から思えた時ではないだろうか?
安さに驚くとか、信じられない値段だとか、凄く常識を超えている場合の感動。
尚且つ、わざわざ店に対して「・・・イイかしら~?」と不安と期待も持って確かめなければならない。

本来は商品すべての値段に感動して欲しい。
だから、その実現には仕入れの努力が常に必要なのだ。
或は、薄利多売ということでもあるし、理屈では分かっていても未だできていない。

初めて来店した彼女は、暫く探索して作家物の馬上杯を買った。
焼き物好きでかなり凝っているらしく、「これは・・・窯の・・の物ですよね、箱はありますか?」と聞いてきた。
「申し訳ございません、仕入れた時から箱が無くて・・・お値段は相当安くなってますが・・」

「馬上杯でしょ、珍しい形だし、いただきます」
窯元やデパートで買うとすれば軽く10倍以上もするから、実は大変な買い得品である。
それでも普通に買い物をした反応だ。

その後帰ろうと出口に歩いて行った。
すると踵を返してレジに急ぎ足で戻って来るのだった。
片手にハンガーに掛けられた服を下げている。

「あの~申し訳ないけど、これもイイかしら~?」と微笑みを湛えている。
「えぇ~ありがとうございます」俺はお礼を返す。
「本当にイイんですか・・・」

「季節が変わるんで・・見切り品ですし、又買いに来ていただければ・・」
焼き物を買う時よりも遥かに驚いて喜んでくれた。
何を激安にするかは考えるが、価値のない物を安くしたとしてお客さんは感動はしない。

その品物を選ぶ時に少しは考えている。