リサイクル親父の日記

第427話 何処も断るって・・どうして?

2011/11/02

買取依頼の申し込みも色々ある。
電話が一番多いが、店に来て相談する方もいる。
常連さんであれば来店が多いが、初めて方の場合もそれなりにある。

ワゴン車やトラック、乗用車に積んでくる場合もある。
最初に俺の店に来る場合もあるが、何処か他所で断られて、それでしょうがなくて来るってこともある。
しかし断られたことを言わずに打診するのが大半で、成約すると「実は、さっき断られたの・・」と打ち明けたりもする。

それはそれで、俺は品物が商品として価値があるかないかだけを見極めるように心掛けている次第。
その日の昼ごろに年配のご婦人がおずおずとレジに向かって来た。
とっても控え目でオドオドした感じを受けた。

「・・あの~知合いが家を解体するんですが・・家具はそれなりに古いけど・・イイ物で、ゴミにするにはもったいなくて・・その方は東京に居るんですが・・・一度、見ていただけないかって・・あっちこっちリサイクルショップを歩いてたんですが・・何処でも断るんですよ・・・引き取るのにお金が相当かかるって・・それで困ってしまってて・・」

概要を掴むまで聞いてから、幾つか質問して内容ををできるだけ詳しく知ろうと試みある。
「買取できるかどうか現場で判断しないとなりませんので、見に行くのは構いませんが、いつよろしいですか?」
「そうですか、あぁ~~助かったわ~~何処でも・・4ヶ所で断られ・・どうしようかと・・」

彼女は断られる恐怖心を抑えていたんだろうか、今表情が一変した。 
花が咲いたような満面の笑みが、そして本来の美しい顔に戻ったのだろう。
「でも大変ですね、お知り合いの頼まれごとも」

今度はハキハキと答える。
「えぇ、昔からの知り合いですし、そう言えば、その家のお婆ちゃんはお茶の先生もしてらしたの・・・」
「その辺の物も買取してますから」

「解体するからって、ゴミにするには忍びないでしょ?」
「それでいつ行きましょうか?」
「直ぐに彼女に連絡します、彼女から電話をさせますよ」

俺は名刺を差し出した。
すると彼女も名刺をくれた。
表には名前と住所、裏面に会社名が記されていた。

驚いたのは、その名刺が透かしで花模様が施されていて、花形に透き通っていたのだ。
更に、買取依頼の話を内容を聞かずに断る店が4店もあるという事実。
他所は忙しくて係わっていられないらしいが、残り物に福がありますように祈るばかり・・・