2011/11/04
ケータイが鳴って相手の番号を見たが心当たりが無い。
日中だから躊躇なく出た。
知らない番号の場合で夜遅い時間や早朝だと俺は無視して出ない時もある。
本当に急いでいると再度かけてくる時もあるから、そんな時には出ることもある。
少し心して「ハイ、xxですが・・」とトーンを下げて応えた。
「XXさんですか? 随分前にお世話になりました・・000不動産の小林ですが、憶えてますか?」
「はぁ~小林さん?? えっと、どんな件でしたっけ?」記憶が引き出せない状態だ。
「青葉区五橋のマンションの家具の買取をしてもらったんですよ」彼の声は元気がはち切れている。
「あっ! おじいさんの売却で・・思い出しました、あの時はどうもありがとうございました」
ハワイに移住し、仙台出身の奥さんと結婚した。
40~50年ハワイ暮らしをしたが、子供も無く、最晩年を奥さんの故郷・仙台で送ろうとマンションを買った。
しかし2年も経たずに奥さんは亡くなったから、お爺さんは老人ホームにお世話になることにした。
マンションと新調した家具類を処分するためにリサイクルショップを探して、俺に声がかかったのだった。
暮らし振りが洋風で大型ソファーや豪華なベットだったので、搬出に手間取ったっけ。
「ところで、まだ、あの仕事、リサイクルやってんですか?」
数年前の出会いだし、人生いろいろで、同じような依頼ができるかどうかを確認してきた。
しかし、「まだ・・」という聞き方に少し腹も立った。
「やってますよ!もちろん」と語気を強めてしまったよ。
「そりゃ良かった、実は又、お願いしたいと思って電話したんですよ」
そっかぁ、腹を立てることは無いんだと思い直した。
「えぇ、リサイクル品の買取はやってますから、で、どんな内容ですか?」
俺と彼の距離がやっと縮んでフランクに話せるようになった。
「今回は一軒家の売買でして、そこそこ立派な家具がありますよ、買主さんのいらない物をどうかと思って・・」
「それはありがたい話ですね、どうしたらイイんですか?」
「仙台の外れの方ですが大丈夫ですかね? 一度見積をしてもらいたいので・・」
「買取は何処へでも行くので問題はありません、日程も合わせるようにしますから・・」
数日後に見積に行くことになったのだ。