リサイクル親父の日記

第435話 レトロなシェードを・・・青年はモジモジと・・

2011/11/10

休祭日の午後2時頃から数時間にお客さんがたくさん入ることもある。
たくさんと言っても俺の店は知れているが、普段はパラパラだから特にそう思えるのだ。
何組かのお客さんが楽しそうにお喋りして見て回ったり、子供連れがワイワイと賑やかだったりと・・・

押し合いをすることはなく、少々ざわめいたりする程度だが、それでも活気は感じる。
俺はレジカウンターにいて、立って店内全体に目を配る。
子供には要注意だ、走って怪我をしたりされたら大変だし、ぶつかって商品を壊されるのも問題。

危険を避けるためだから、親が注意しない場合には遠慮せずに注意をする。
大方は親が反省の弁明をして、子供に注意を促す。
だが、中には、「叱られるから帰りましょう」と直ぐに店を出ていくお客さんもいる。

躾のできない若い親が増えていると感じるが、俺もそれを言えるほどの資格はない。
ただ、商品が壊れるくらいであれば気にもしないが、店内での怪我は困るのだ。
青年がレジ近くの棚付近から骨董コーナーを何度も行ったり来たりしてた。

時々、品物を手にとって眺めるが直ぐに戻して、そして数歩進んで手に取る。
アンティークを好む風、レトロ大好き風にも思える。
かれらは独特の雰囲気を持っていて、個性的で独特な服装や行動から感じる。

店からお客さんが一斉に引いた後、青年はオドオドしながらレジに近づく。
「あの~骨董コーナーはサービスしてもらえますかね~~?」
俺としては骨董品は動きが悪い物もあり、物によっては値引き販売もする。

「基本的には難しいけど・・まぁ、物によっては考えてもイイですが・・どれですか?」
「あっちのある・・随分前に相談した時は値引いてくれるって・・」
骨董は買う買わないを問わずに、兎に角値段交渉をするお客さんがたくさんいる。

その値引きによって最終判断をするのだろうが、迂闊に応じても軽くいなされることが多い。
人間不信ではないのだが、軽軽に値引き交渉に入らないのが自分のためである。
真剣に値引きに応えて、軽くあしらわれると、ガクッと落ち込んでしまう。

青年が示したのは大振りでレトロなガラスのシェードだった。
全体は濃いオレンジ色だが、端の方がひだ状に開いていて白色で最端は赤いラインがある。
古い家の納屋から箱入り未使用品として買取したのが10年前だった。

察すると約50年前だったし、金具部は濃褐色にほど良く時代があった。
「あれから金を貯めて、やっと来れました・・」
朴訥な言い方に俺は共感したから、「えぇ、随分経ったし、これは値引きしてもイイですよ」