リサイクル親父の日記

第436話 「こ、これはイイ物よ、高いわよ」って、何処が?!

2011/11/11

おばちゃん達3人がワイワイガヤガヤと売りに来た。
今日で3回目だった。
乗用車に段ボール箱にガッチャガッチャと詰めて持って来てた。

置物や食器、細かい物や大型の物、家庭にある品々である。
「もう直ぐ家を解体するの、だから不要品があって・・捨てるのは勿体ないし・・」
俺の店の近くには競合店がたくさんあるが、多分、この手の物は査定しないと思われた。

若者向けでもないし、家電や家具でもないし、使った古い品々には食指が動かないのだ。
「買取できる物や引き取れる物だけで結構ですので・・ダメな物は処分しますから・・」
俺が説明する前におばちゃん達が申し出ているのは、他所の店での反応を学習したからだろうか。

しかし売りに来た人がどんな事情があろうと、実は関心を持たない。
背景や事情に左右されて俺の感情が揺れ動けば、物を見る目が狂って査定がおかしくなる。
品物自体がどうかを判断するように努めるのがベターなのだ。

煎茶道具の急須に湯呑茶碗、茶こぼし、菓子器にお盆類が山の様にあった。
こけしも箱で数箱、漆器に焼き物と多様である。
「お婆ちゃんが溜めてたの・・・同じよなものがたくさん・・」

これらは使用して物であり、付け置きした上で洗浄する手間がかかる。
1点ずつ洗うのだがやはり新品のようにはならないから、売値も安くせざるを得ない。
商売としては扱い難い部類であるが、暇を見つけながらコツコツ手入れをする。

お婆ちゃんはお茶好きで道具好きだったのか、中には何点か珍しい物もある。
「・・これもイイですか?」とビニール袋から剥製を取り出した。
「すいません、それは無理ですね」

「分かりました、これは持って帰ります」と袋に入れ直した。
別のおばちゃんが「こ、これはイイ物よ、高いわよ」と茶色に変色した箱を開けた。
一見漆器に見えた。

俺はそれを手に取ると、木製に比べて重く感じられた。
「これはね、ベークライト製ですよ、評価は出ませんよ」
そんなやり取りをしながら検品をするのだが、2~30分もかかるのだった。