リサイクル親父の日記

第437話 あなたならどうしますか? 俺はどうすれば・・

2011/11/12

リサイクルショップは時に珍しい物が売ってたりする。
俺は変わった物や変な物が楽しいから、できるだけ買取したり引き取りしたりする。
分からない物を見た時のお客さんの反応がこれ又楽しい。

意識するしないにかかわらずリサイクルショップには珍しい物が集まる。
滅多に他所の競合店をのぞかないが、何年か前には時々あっちこっちにリサーチに行ったこともある。
初めて見る物や良品には関心が湧くもので、そんなこんなで知識が知らない間に高まる。

同業者のオークションもセリも、買わずとも物を知る上では大いに役立つ。
陳列した物が全て売れることはないから、時が経つにつれて珍しい物と変な物の在庫が増えている。
お爺さんは10年来の常連さんである。

月に1度くらい来店する。
年金暮らしのため時間は相当あって、時間をもてあまし気味。
サービス品のワゴンの物や安売りの本を時々買ってくれる。

美術や骨董に興味があるらしく、宮城県美術館や三越の催事に出かけている。
その感想を得意気に話しているが、どうも理解不足は否めずにチンプンカンプンだったりしている。
自転車で移動しているので足腰は丈夫そうだが、目と耳は歳には勝てない。

100円、200円の買い物は自分で決めているが、数千円になると息子の許可が無いと決められない。
その為に商談中にしてから、数日後に息子さんを連れて来るのだが、ほとんど反対されてしまう。
そのやり取りは聞くに堪えない場合もあるから、俺は商談中にする場合は断るようになった。

暇つぶしだから、興味ある品物について質問をするのが常だ。
買う気が無くて、単に品物について分からずに聞いているのだが、さりとて自分で調べたりはしない。
俺の店はお年寄り向け商品が多い筈、だから年配者が圧倒的に多くもなっている。

漆器、焼き物、花器、茶道具の陳列棚にお爺さんが見入っている。
関心がある物を手にとって眺める、1点、2点と数点までいく。
その時、カシャーンと何かが床に落ちて割れた。

少し腰が曲がっているのだが、ビクッと曲がりが大きくなる。
「・・あぁ~~弁償するから~・・」とお爺さんが小声で呟く。
香合の構造が分からずに、上蓋側を引き寄せながら持ち上げてしまい、下側が落ちたのだ。

ちょっと古くて兎形の可愛らしい香合は、お爺さんが使う金額とはケタが違っているのだ。
弁償するって・・お爺さんの懐具合は十分に知っている。
「・・まぁ、弁償しなくってイイですから・・これからは気を付けてくださいな」

その気まずさの後、お爺さんはいつもの買い物、200円と300円の品をレジに持って来たんだ。