リサイクル親父の日記

第438話 ひのもと・・珍しい名前だと感じるも・・・

2011/11/13

2ヶ月前に買った物の買取である。
しかし冷蔵庫や洗濯機、テレビは無くて、それ以外のレンジやジャー、掃除機、食器棚などである。
テーブルやガスコンロもあるので、俺にとってはイイ話の部類だ。

「・・それでよろしいですね、それではお名前と電話番号を教えてください」
話がまとまった後に訊ねる常套句を俺は発した。
「ひのもと・・・電話はケータイがXXXXXXXXです」

ひのもと、メモリながら凄い珍しい名前だと思ったし、俺の調子がイイとこれに反応するんだが・・
でも相手の女性は暗い感じで俺の冗談なんて受け付けないように思えた。
翌日の朝にアパートに行ってチャイムを押しても反応が無い。

運よく(?)ケータイには出るには出たが、まだ寝てたと言い訳をする。
暫し間があってドアーが開くと、玄関にスニーカー数足とサンダルなどが乱舞してる。
部屋に入って買取品を確かめると、「これ全部」と縦長の食器棚を指さしてムスッとしてる。

寝てたはずなのに化粧はバッチリでシャツと短パン姿が眩しくもある。
床にメロンパンとコーヒー牛乳の紙パックが無造作に置いてあるし、スマートホンも放り出してある。
「あのね、これもイイ?」とカラーボックやスクリアーケース、折りテーブルなども出してくる。

俺は冷蔵庫やテレビに魅力があったので、ダメ元でもう一度訊ねた。
「テレビとかは持って行くんですかね?買取したいんですがね」
彼女はニヤリと冷やかに笑って首を横に振っている。

予定通りの品々を買い取ってから、長い階段を何度も上り下りして運びお終えた。
2ヶ月前に新品で買い揃えて引越すのだが、分からないことが多過ぎる。
例えば食器は2人分あったが男気は全く無い。

柔らかなソファーを指した時、「買ったばり」と実に懐かしい方言を言ってたのを思い出した。
買ったばかりという表現を買った「ばり」とズーズー弁と言ってたから、俺の生まれと近いかも知れない。
しかし故郷には「ひのもと」なんて名字は無かった。

店で買取領収書を整理した。
彼女も名前に俺は目を疑った。
「日野元子」とあるのだ。

「ひのもと・・」は「日野元子」なのだったゾーッ。
耳も聞き取り難くなっている現実を受け入れないと。