2011/11/14
「冷蔵庫の買取できますか?品番はXXXで箱に入ったままで・・・それにテレビも箱に・・」
ここまで聞くと、それは義援でもらった家電だと直ぐに分かる。
箱に入った状態がキーワードであり、新品を指している。
震災から8カ月だが、義援家電の配達が今も続いている。
「幾らで買ってもらえますか?」これも定番の質問である。
人間の言動は似たりよったりということかも知れない。
もらったが足りている、では売って何ぼかにするかと動くが、できるだけ高く売りたい。
リサイクルショップに電話をして見積をさせる、1軒でけでなくて数軒も電話をする。
「そんなものですか? あ、あの検討してから・・その時に直ぐに取に来てもらえるんですよね?」
「それは分かりませんね、こっちも色々予定が舞い込むんで、何とも言えませんが」
「少しだけ時間をください」
「もし今決めていただければ、例えば今日の夕方にとかは大丈夫ですがね」
でも彼は見積金額に対して満足はしてない、或は、他を調べないと納得できない様子。
10分後に再度電話があった。
「さっき見積してもらった・・・今日夕方来てもらえますよね、お願いします、邪魔で・・・」
テレビの在庫が無くなっていたから、俺は強く査定していたので、必ず了解すると予測していた。
アパートのドアーを開けてびっくり玉手箱状態だ。
廊下にドンと置いてあるが廊下を塞いでいて奥が見えないのだ。
壁と箱の隙間から痩せた彼が跨ぐようにして現れる。
「どうやって出しますか?」と俺に聞いてきた。
「上に持ち上げることはできませんから、玄関側に倒して・・それから持ち上げますよ」
積み込み作業が終わって清算をしていた。
「震災の後、前のアパートが住めなくなって引越して、全部買ったんで・・・」
「被災したから義援してもらえるしね、家賃もタダでしょうから・・・」
その時に彼の顔が疑問だらけに変わってしまう。
「えっ、え~~家賃が・・タダ!!??どうしてですか?」
俺の方が驚いてしまうよ、被災して住めなくなって引越せば2年間は行政から家賃の面倒を見てもらえる。
連日報道されてたし、被災者同士の情報交換もあるだろうに・・・
「区役所に相談しらイイと思うよ」俺はアドバイスした。
「本当ですか、助かりました、有難うございました」彼は深部下頭を下げていた。