リサイクル親父の日記

第440話 どうして説教しちゃうの?

2011/11/15

俺の店はお年寄りのお客さんが多いので、ブログもそんなネタが増えちゃう。
しかし俺のやるリサイクルショップとしては、年配者は塩梅がイイと思える。
どうしても若輩を軽く見てしまうから、性格的に年下の人に丁寧に接するのが苦手である。

だからと言って、ぞんざいに接することはなくて、それなりに心は込めているつもり。
誰に対してもフレンドリーでオープンな接客を目指しているつもり。
ただ話し易いのは同年配者から年上であるのはかわらない。

小柄で70年配の紳士然としたお爺さんは身なりも良品で覆っていた。
「ご主人、あそこのガスコンロ台ねぇ、状態もイイし、新しいし気に入ったよ、ガス管は切断したんだね・・」
大変理路整然と話し始めたから、俺はかなり詳しい人だと分かった。

「えぇ、そうですよ、約1年前に買取しました、喫茶店で設備したんですが・・未使用状態でした」
「あのメーカーが好きでしてね、それに家の予備として持ってておイイかなと考えてんですよ」
そのやり取りの後、お爺さんは店の経営をいろいろ訊ねてきた。

「リサイクルショップは随分儲かってるでしょう?それに震災もあったから売れるでしょうね」
「他所の店はそんな話よ聞いてますが、ウチは商品不足でして・・なかなか・・」
「わたしね、XX物産で50年役員だったんで、今ね顧問を・・・年商数億円を数百億までにしましてね・・」

上着の内ポケットから名刺入れを出して、その商社の顧問、良く見ると元顧問と記された名刺を押し付けてきた。
「こないだ社長に会ったらさ、震災特需だそうで物凄く儲かっているって自慢されましたよ」
過去の栄光にすがって、それを開帳したくて仕方がないから、誰彼なしに吹聴しまくる。

時々そんなお年寄りに合うので、ちょっと話を聞けば想像できた。
「ところでご主人、あなた地味に経営してますね、それが一番だよ、わたしもね会社にいた時に・・・」
何かきっかけを見つけては延々と自慢話を繰り出すからややっこしい。

「ウチはこの辺では小さいし、目立たないし、他所と比べたら足元にも及びませんし」
お爺さんは熱を帯びて自慢話や考えを披歴するが、どうして熱を冷まそうかと考える。
「地味にやってても、ある時は攻めないといけないよ、守りだけではダメだし、攻める時は・・・」

今度は経営方針まで指導しだすのかと唖然とした。
「わたしね、子会社で何度も失敗をしたが、思い切って撤退して、次はドンと攻めたんだよ・・・
あぁ、色々やったなぁ、それで今の会社になったんだけどさ、東京にある会社から震災復興で・・」

又しても、自分が如何に重用されているかを自慢げに話し出した。
これではいつまでも終わらないと思ったので、俺は黙して語らいようにした。
お爺さんはやがて喋りつかれて、「そろそろ・・失敬するよ」だって。