リサイクル親父の日記

第443話 クレーマーの狂気の沙汰

2011/11/18

リサイクルショップに売りたい物を持ち込む人もかなりいる。
大型チェーン店には順番待ち状態で持ち込む人がたくさんいるんだ。
その光景に俺は少し嫉妬しているが、知名度、認知度、広告費、立地の全てが敵わない。

でも、俺の店にも持ち込みが少ないけどあるにはある。
皆無の日もあるけれど、祭日などは数件から5~6件あったりもする。
大型店は従業員も5~6人以上いるので、買取に販売、それに電話対応と輻輳してもこなせている。

俺の店は必要最小限2~3人だから、ちょっと輻輳するとてんてこ舞いが一時的に惹起する。
さりとて瞬間最大の仕事量に合わせて人を増やすよりは、多少の待ち時間はあっても現有でこなしている。
入口から男がデッキを2台抱えて歩いてきた。

その時、電話が鳴ったので俺は受話器を取った。
「買取について聞きたいんですが、折りベットと冷蔵庫って、買取してますか?」
俺は普段通りに電話で説明をする、「えぇ、取扱はしてますが、年式や状態で・・・」

「冷蔵庫は去年買ったの・・ベットは3~4年かしら・・・」
「それ位でしたら問題ないですね、買取できると思いますが・・」
男は黙って立ってて俺の電話の終わるのを待っている。

それから2~3回電話の相手とやり取りをして受話器を置いた。
「すいません、お待たせしました、買取ですか?」と男に声をかけた。
ド~ンとデッキをカウンターに放り出すと、「これだ!」と乱暴に言い放った。

一見して買取できないと分かったが、男の迫力をかわすために検品に取り掛かった。
案の定、一体型ビデオとDVDプレーヤーは挿入口カバーが脱落していた。
「蓋が壊れてますので買取できませんので・・」と戻した。

ムスッとした男は、もう一台のビデオデッキを示して「こっちは?どうだ」と言ってきた。
「・・こちらは電源ケーブルがありませんので、こちらも無理ですね」
男の目の色が変わったし、ギラギラの炎が燃えだしたと感じた。

「おめえ、何だよ、さんざん待たせて、買えないだと!ふざけるな!」
「電話してたんで、お客さんも見てたでしょ?」
「電話なんか後回しでイイんだよ、俺が来てるのに!」

あぁ・・やっぱり狂ってる、あの目の発火が合図でスイッチが入ったのだ。
態度が悪い、話し方が悪い、謝れ、心が入っていない、などと執拗に文句を言っていた。
他のお客さんが数人いて離れて見ていた。

こんな理不尽なことが稀に起こるけど、これほどストレスが溜まるのもない。
いたん店から出た男が直ぐに戻って来て、「これ処分しとけ!」
デッキ2台を店に放り込んできた。