2011/11/23
電話は男のドスの利いたからだった。
「事務所閉めたんだよ、色々あるんだよ、引き取りしてくんねぇか?」
声質と話し方で感じるものがあったので用心して話をすることにした。
「事務機も取扱しますが、どんな物が、それにどれくらい前の物ですかね?」
一般的な基準よりも厳しくして、できれば買取を避けたいと思った。
「新しい物もあるし古い物もあるし、壊れてはいないしな、見てくんねぇかな?」
「えぇ、それは構いませんけど」
「もうトラックに積んであるんだ、これから持って行くよ」
店の住所を伝えた。
40~50分後に2人組の二人とも顎髭をはやしたゴツイ男たちがやって来た。
背の高い若い方が「さっき、電話したもんだけど・・」とドスを利かせる。
後ろの白いワイシャツに革のベストの方はギラッとした目つきで黙っている。
外に出ると、2トン箱車が止まっていた。
後ろの扉を開けると、椅子やテーブル、ソファーがギシッと詰まっている。
全部取り出して検品してから引き取りを断れば・・・少しヤバイかもと思った。
見える部分で全体を判断するしかない。
新しい物は無かったが、古い物ともいえない、リサイクル品として問題は無い。
「買取できそうですが・・金額はどれ位を考えてますかね?」
兎に角用心した、査定金額に逆上されても困る。
白ワイシャツ男が、「幾らでもイイんだ、引き取ってもらえれば」と超ドス利いた声だ。
「分かりました、物も大丈夫そうなので全部でX万円で買いますよ」
そして俺は二人の一緒にトラックから降ろした。
背の高い方は白ワイシャツに気を使っている。
「大丈夫っすか?」「オレ、持ちますっよ」とか聞こえる。
清算をして金を受け取った背の高い方が白ワイシャツに渡した。
「おめえにやるよ、取っておけよ」と金を戻していた。
「すっません」とペコリと頭を下げたのが俺の瞼に残っている。